なぜ「OG-14」に裏地を付けるのか?

「OG-24」Duck JKT

憧れの男たちに近づくために。

モスグリーンのダック生地で仕立てた「OG-14」というジャケットがある。オガワが映画やテレビで憧れを抱いた骨太な男たちに、一歩でも近づきたいがために作り上げたプロダクトである。

映画「ランボー」。ベトナム戦争の戦友を訪ねたランボーだが、戦時中に浴びた化学兵器の後遺症でこの世を去っていたことを知る。気を落としたランボーは、白い息を吐きながら山間を歩き、田舎町に辿り着く。そこで保安官ティーズルに呼び止められる。この一連のシーン。寡黙なランボーとモスグリーンの「M65」が凄まじくカッコいい。

オガワが愛して止まないドラマ「北の国から」。シリーズ最終回となった「北の国から 2002 遺言」では、田中邦衛さん扮する黒板五郎がモスグリーンのドカジャンに身を包んでいた。ドラマでは度々着用シーンが見られるが、五郎が自分で作り上げた小屋でひとり作業をしている時に、宮沢りえさん扮するシュウが訪ねてくるシーンがマイベスト。思い出すだけで涙が溢れる名シーンだ。

そう、憧れの男たちは、いつもモスグリーンのジャケットだった。

再販よりも新たなジャケット。

「OG-14」のサンプルが完成したのは、2021年4月。今から3年以上も前のことだ。同年9月にオーダー受付を開始し、実に多くのブラザーに賛同して頂いた。

2018年の「Original Garment Brothers」立ち上げから現時点まで、オガワがリリース(販売)したプロダクトは「OG-1」から「OG-20」。

つい先日、2024年6月18日にオーダー受付を終了した「OG-6 Ver.Cha-Uma」が一回の受注における最多オーダー数の記録を更新したが、それまでは「OG-14」が最多オーダー数を記録していた。それほど人気の高いジャケットだ。

にも関わらず、現在に至るまで「OG-14」は一度も再販を行っていない。再販を望むブラザーの声は多く届いていたが、再販には踏み切れなかった。

なぜか。オガワの脳内に、再販に向けたモチベーションを上回る、新たな欲求がふつふつと湧いてきていたからだ。

「OG-14」は非常に使い勝手の良いジャケットだ。オガワが企画するジャケットにしては珍しく、4つのポケットを装備している。iPhoneやショートウォレットを無造作に放り込めるポケットは、特に相棒ラムバンの運転時に活躍してくれる。

そして、モスグリーンのダック生地は「OG-7」で使用しているブラウンのダック生地よりも、アタリや褪色が顕著に現れる。枯れたエイジングを存分に楽しめるマテリアルだ。

この「OG-14」のデザイン、そしてモスグリーンのダック生地の魅力に取り憑かれたからこそ、「OG-14」の再販よりも新たなジャケット……前述した骨太な男たちに、さらに一歩近づくためのジャケットを作ってみたくなったのだ。

白い息が似合う冬用ジャケット。

もはや、オガワの完全なる思い込み、完全なる自己満足、完全なる偏愛でしかない。モスグリーンのダック生地で仕立てたジャケットには、寒さに身を屈め、白い息を吐く姿が良く似合う。

ライナーを付けていたかは知らないが田舎町に辿り着いたランボーの「M65」、北海道富良野の大自然に生きる黒板五郎の「ドカジャン」。若かりし頃に憧れを抱いた骨太な男たちのジャケットと同様、白い息が似合う防寒性を備えた冬用JKTが無性に欲しくなった。

あの男たちを己に置き換え、自己陶酔するためのジャケット。テレビの画面で見た何気ないあのシーン、自分だったらこんなジャケットを羽織っていたかったと思える一着。

それこそが「OG-14」のデザインそのままに、ブランケットの裏地を装着した新たな冬用JKT「OG-24」なのである。