What’s Original Garment Brothers?

まずはじめに……。
相変わらず長い文章で申し訳ない。
相変わらずしみったれた文章で申し訳ない。

2018年2月に16年間務めた出版社を退社し、個人事業主となった。
届け出の屋号は「O.G.BROS.」。「Original Garment Brothers」の略だ。

11年間共に過ごしてきた「ブロス」という言葉への愛着、感謝の気持ちもある。「オガワブロス」という遊び心もある。

が、本質はそこではない。

「Original Garment Brothers」それは「唯一無二のプロダクトで繋がる仲間たち」を意味する。

2007年に「Daytona BROS」を立ち上げて以来、紙の雑誌を通して、自分なりにアメカジの魅力を発信してきた。オガワにとっては雑誌もプロダクト。職人がモノ作りに夢中になるように、編集者として雑誌作りに夢中になった。

雑誌編集者になって20年以上、ずっと抱き続けてきた、ひとつの夢。「10年続く雑誌を作る」という夢を「Daytona BROS」、そして発行元である出版社のお陰で叶えることができた。

ひとつの夢が実現した瞬間、人間は本能的に次なる夢に向かって歩き出す。オガワにとって次なる夢とは、雑誌だけでなく、色々なモノを作りたいという、子供のような単純で漠然とした夢だった。

人生たった一度。

会社を辞めた。家族には事後報告。次の仕事も決まっていない。何をするかも決まっていない。そんな時に声を掛けてくれたのが、アメカジ業界の兄貴たちであり、可愛い弟たちであり、愛すべき読者たちだった。会社を辞めてから、今この瞬間までの約半年。これほど人と人との繋がりを大切に感じ、感謝したことはない。

アパレル不況と言われて久しい今日。非常に小さな市場である日本のアメカジ業界。それでも、微力ながら必ず恩返しをする。枠にとらわれることなく、自由な発想でやりたいコトをひとつずつ実現していくことで、小さな話題が生まれ、よりアメカジに興味を持つ人が増えてくれればと願う。

人気、売上、継続性、将来性というビジネスとしての重要な点を無視すれば、個人でブランドを立ち上げることは難しくない。生産工場と交渉し、予算、納期、デザイン、素材を伝え、完成したアイテムをWEBサイトで販売する。ブランドとしては成立する。

だが、それは望んでいない。

編集長を務めた11年間で、アメカジに関わる多くの人々、ブランド、ショップと出会うことができた。彼らと共に、愛すべきアメリカンカジュアルというジャンルで、エキサイティングなモノやコトを企画し、共有したい。

私が身を置いてきた雑誌編集の世界。多くの雑誌は、様々なブランドから貴重な情報を提供して頂き、1冊の雑誌として成立する。原点はそこにある。

エディトリアルな感覚でモノを作る。

革ジャンを作るなら革のプロフェッショナルと作る。ジーンズを作りたくなったらデニムのプロフェッショナルと作る。アメカジ雑誌を作りたくなったら多くのアメカジブランドたちと共に作る。

「Original Garment Brothers」はカスタムファクトリー的な存在と考えて頂ければわかりやすい。アメカジ業界で活躍するプロフェッショナルたちの技とこだわりに、オガワの我儘を隠し味として味付けする。両者のコラボレーションの証として誕生したプロダクトを世に問う。

譲れないルールもある。

「自分が使いたいと思うモノしか作らない」
「自分が手で触れていないモノは売らない」

言うのは簡単だが、貫くのは難しい。アメカジ業界の数あるブランドを見回しても、いったいどれだけのブランドが「自分たちが欲しいモノ」作りに徹しているか。一握りに過ぎない。大先輩方には「素人のたわ言」「理想と現実は違う」と一蹴されるだろうが、「たわ言」を貫くのも悪くないと思っている。

金額の大小に関わらず「Original Garment Brothers」のプロダクトを購入してもらうということ。その行為には最高の感謝の気持ちを持って対応しなければいけない。責任を持って届けなければいけない。雑誌のような流通インフラが確立されているプロダクト、ノベルティ的意味合いの強いプロダクトを除いては、自分が手で触れたモノだけを届けると決めている。

参加型のカスタムファクトリー。

「Original Garment Brothers」は、アメカジを愛する人々と共に作り上げるカスタムファクトリーだ。プロダクトを手にしてくれた人すべてが愛すべき仲間、ブラザーである。そのブラザーたちと共に楽しめる「Aging Contest」「Bros Gallery Page」「Bros Snap Book」の展開など様々な企画を予定している。「O.G.BROS.Magazine」を愛すべきブラザーたちと作るのも楽しそうだ。

店舗やイベントなどの直接対話ができる場に比べ、「顔が見えない」WEBやSNSはコミュニケーションの構築に不利と言われる。

本当にそうだろうか。 WEBやSNSを駆使し、店舗やイベントや雑誌よりも強固なコミュニケーションと信頼関係を築く。WEBやSNSだからこそ、日本全国、どこにいるブラザーとも直接コミュニケーションが取れる。WEBやSNSだからこそ伝えられることもある。そうオガワは信じている。

今、このサイトを訪れてくれているアナタと、アメカジというフィルターを通してブラザーになる。そう考えただけで興奮が収まらない。押忍。

2018年9月
O.G.BROS. 小川寛之