理想がカタチになる現場。

「OG-24」Duck JKT

Making of OG-24.

ようやく「OG-24」に使うブランケットが決まり、いよいよサンプル製作に取り掛かる。5月下旬、オガワが絶大な信頼を寄せている縫製ファクトリー、岡山児島のアパレルナンバに向かった。

表地&裏地、共にワンウォッシュ済み。

ウール混のブランケット裏地が付く「OG-24」はドライクリーニングが前提となるが、実際のところ家庭用洗濯機で水洗いするブラザーも多いだろう。オガワ自身、同じくブランケット裏地付きの「OG-7」や「OG-16」は、自宅の洗濯機で洗剤を入れて普通に洗っている。

「洗濯機で水洗いすると縮むか?」という質問が多く寄せられる。

表地のダック生地、裏地のブランケット、共に裁断前に洗い専門工場でワンウォッシュと乾燥を施し、生地を縮ませた状態で裁断を行い、ジャケットに仕立てている。そのため、自宅での洗濯による縮みはほとんどないと考えていいだろう。

もちろん、厳密に言えば縮みは発生する。ジーパンやTシャツを自宅で洗濯すると少しだけ縮み、着用しているうちに元に戻っているという経験があるだろう。その程度の僅かな縮みは発生するが、サイズが変わるほどの縮みは発生しない。

ただ、乾燥方法には注意が必要だ。上記は風通しが良い場所で陰干しした場合であり、乾燥機や炎天下での乾燥は大幅に縮む場合がある。

いずれの場合も、洗濯機で水洗いする場合は自己責任でお願いしたい。いかなるクレームにも対応できないので予めご了承頂きたい。

構成パーツは少ない方がいい。

革、デニム、ダック……、素材の種類を問わず、オガワが企画するジャケットは可能な限り少ないパーツで構成することを心掛けている。時には生地の取り都合が悪くなることもあるが、裁断効率を優先してパーツを増やせば、それだけ縫製箇所が増え、着心地を損ねる恐れがある。

この「OG-24」も腰下丈のコートスタイルながら、前後身頃にヨークは無い。左右の前身頃は、それぞれ一枚のパーツに上下ポケットが付く。広い面積の後ろ身頃も一枚のパーツだ。

「OG-14」の時にも「The Magazine」で同じことを書いた覚えがあるが、この広い背中にオリジナルペイントを入れて、オガワだけの「OG-24 mod」にカスタムしたいと考えている。

サンプルだけでなくブラザーにお届けする本製品も、アパレルナンバの熟練職人たちの手によって縫い上げられる。何気ない縫製も的確で美しい。職人技を惜しみなく注ぎ込まれ、「OG-24」はカタチになる。

オガワが惚れ込んだモスグリーンのダック生地。そして、ようやく出会えた理想のブランケット。実際に組み合わせた姿を見るのは、このサンプル製作時が初めて。脳内で描いていた理想の組み合わせが、眼前に現れた。

表地と裏地、まさに最高の組み合わせ。その佇まいは「哀愁が漂うオヤジJKT」そのもの。写真では色味が的確にお伝えできないが、手にしてくれたブラザーは必ず満足してくれると確信している。

ジャケットにとって襟は非常に重要なディテール。取り付けも慎重に行う。左右のバランス、高さが少しでもズレると見た目は大きく損なわれる。

少し上を向いた襟の形状は、2021年に「OG-14」を作る時、こだわり抜いたディテールのひとつ。詳細は次のレポートで。

ブランケットの裏地を袖にも施しているため、高い防寒性と保温性を確保している。「OG-7」「OG-16」と同様、オガワは真冬でもインナーはロンT1枚で過ごすだろう。丈が長い分、より暖かく過ごせそうだ。極寒の季節が待ち遠しい。

ブラック仕様のオリジナルリベット。

「OG-24」のために、新しいリベットも作った。他のプロダクトで既に使用している、突起の無いオリジナルリベット。そのブラック仕様だ。

リベットは小さなパーツだが、突起がテーブルやソファ、クルマのシートを傷付けることがある。傷付けるのはモノだけじゃない。真冬、かじかんだ手が当たると激痛が走る。

だから、リベットは突起が無いに限る。「OG-24」のために作ったブラック仕様のリベット、最小ロットで1万1700個。一着の「OG-24」にポケットと袖、合計10個のリベットを使うので、実に1170着作れることになる。

オガワが禿げ上がったジジィになるまで、「OG-24」を作り続けられるほどの量。嬉しいじゃないか。

骨太な冬用JKT、ついに完成。

2022年に企画を立ち上げたプロダクトが、ようやく完成した。時間は掛かったが、完成度は極めて高い。

手にした瞬間に感じる、タフな仕立て。5年後、10年後に心躍る、強いザラ感。写真では表現できない、枯れたモスグリーンのダック生地、そしてブランケットの裏地。

久し振りに鳥肌が立った。

数々のジャケットに袖を通してきた骨太なオヤジたちも、このモスグリーンの一着に必ず満足してくれるはずだ。

早くもオガワは、こいつに身を預け、白い息を吐きながら寒空の下を歩く姿を想像してほくそ笑んでいる。ボトムは何を穿く、ブーツは何を履く、マフラーはどうする、手袋は必要か……。

今冬、こいつに袖を通したすべてのブラザーが、主役になる。