理想と現実の距離、狭まる。
オガワの理想にまた一歩近付いたセカンドサンプルが完成した。ファーストサンプルの不具合はすべて修正され、手にした瞬間、完成度の高さが伝わってくる。
あらためて修正点を確認する。
<紙幣の収納>
ファーストサンプルでは収納した紙幣とジッパーの距離が近過ぎたため、ウォレットを開閉する際にジッパーが紙幣に干渉していた。セカンドサンプルでは、各部の寸法をミリ単位で見直すことで、干渉しないように修正した。
<スペーサーの高さ>
当初、カード&紙幣の収納部の両サイドに挟み込む革パーツ(スペーサー)の高さを5ミリに設定した。だが、少々厚過ぎたようだ。ジッパー開閉時、ウォレット内部の側面に少しだけ干渉する。
空間が広く、カード収納枚数が増えることは決してマイナス要因ではないが、無意味に分厚くすることもない。必要にして十分な収納力が確保できれば、それでいい。
よって、セカンドサンプルでは高さを3ミリに変更した。これが、すこぶる具合がいい。
カード収納部には、カード5枚がストレスフリーに放り込める。あと数枚増えてもまったく問題ない。取り出す機会が少ない交通系ICカードや会社のタイムカードなどは、隣に設けたスペースに収納すればいい。
紙幣は半分に折って札入れに収める。空間部分に使用頻度が高い千円札。やや大きめの五千円札と一万円札は隣に設けた収納スペースに入れる。合計で20枚ほどの紙幣が収納可能だ。
<小銭入れの幅>
ファーストサンプルでは、小銭入れをウォレット内部の左右幅と同じ幅に設定していた。このことも、ジッパーがウォレット内部に干渉する一因となっていると推測。セカンドサンプルでは、小銭入れをウォレット端から左右各5ミリ短くした。
<小銭入れ部のボトム>
ウォレット中央に配置した小銭入れ。ファーストサンプルでは2枚の革を縫い合わせて袋状にしたが、ボトムの縫製部分に小銭が挟まり、取り出しにくい。
そこで、1枚の革を半分に折り、両サイドを縫い合わせて袋状にした。ボトムに縫い目がないので、オガワの太い指でも簡単にボトムまでアプローチできる。小銭の取り出しは、数倍、いや数十倍、ラクになった。
その他にも、見えない部分の縫製仕様の見直し、ミリ単位でのサイズ調整を施している。
構造確認用のサンプルゆえ、まだ表に馬革は貼られていない。それでも、手にした瞬間のサイズ感、質感、適度な重量感が抜群だ。ロングウォレット「OG-3」「OG-8」と、幅、厚みともほぼ同寸に仕上がった。まさに狙い通り、どんぴしゃり。
ディテール、寸法、縫製仕様、すべてが決まった。いよいよ、馬革を貼った最終仕様のサンプル製作に取り掛かる。
だが「OG-9」は、こんなもんじゃない。
もう一手間、隠し味を加える。それは次回にお知らせすることにしよう。