鹿革で仕立てる、永久定番。

Leather JKT 2023

鹿革を美しく仕立てる、職人の技。

鹿革のファーストプロダクトには、フラッグシップモデル「OG-2」を選んだ。一切の無駄を削ぎ落とした「研ぎ澄まされた日本刀」のような一着は、鹿革特有の「シボ」と「艶」を存分に楽しむことができる。

鹿革の上に馬革「OG-2」を置いた上写真を見て頂きたい。鹿革は馬革に比べて圧倒的に小さい。そのため、一着の「OG-2」を仕立てるには多くの枚数が必要。馬革を知り尽くしたブラザーの次なる相棒として提案する「OG-2 Deer Ver.」は、贅沢な大人の一丁羅でもある。

体が小さく、よく動き回る鹿には傷が多い。品質に影響する大きなキズは裁断時に避けるが、写真のような小さな傷は普通に入る。

襟やポケットに意図的にシボを使う馬革JKTとは異なり、鹿革ではもっとも美しく仕上がるように裁断をリクエストしている。

伸びやすい鹿革は芯材による下処理が重要。硬さ、幅の異なる芯材を使い分ける。馬革と比べて、芯材を貼る作業に膨大な時間を費やす。

鹿革の床面、見えない部分にも徹底的に手間を掛ける。完成時の美しいシルエットは、妥協を許さない地道な下処理があってこそ。

縫製が難しいとされる鹿革を、ミシンを自在に操り、美しく縫い進めていく。小気味良いミシンの音は、聞いているだけでワクワクしてくる。

縫い上がった両玉縁ポケットが抜群に美しい。玉縁の膨らみやバランスが少し崩れるだけで、見た目は大きく損なわれてしまう。

馬革JKTのサンプル製作の撮影は何度もあるが、鹿革JKTの製作に立ち会うのは初めて。見る作業すべてが、新鮮で楽しい。

まったく縫い物ができないオガワにとって、手際良く製作を進める職人は憧れの存在。老眼なので手元すらよく見えない自分が悲しい。

丁寧な縫製による端正な顔つきと、上品な佇まい。今はまだマットな質感だが、次第に艶が生まれ、表情豊かに育ってくれるだろう。サンプルとはいえ、自分の相棒になるジャケットだ。目の前で次第に出来上がっていく光景を見られるのは、オガワの特権。

完成した「OG-2 Deer Ver.」の詳細は、あらためて紹介する。