伝説の職人が見せた、本気。

「OG-9」Short Wallet

98%から、100%へ。

「Original Garment Brothers」は、ふたつの大切な存在によって成立している。

プロダクトを手にとって、ワクワクを共有してくれる全国のブラザーたち。そして、その道を極めたモノ作りのプロフェッショナルたちだ。オガワ自身は、両者を繋ぐ橋渡し的な存在だと思っている。

何度も言い続けているが、不特定多数を対象にしたモノ作りをしてはいない。特定少数のブラザーに向けたモノ作りを貫く。オガワ自身のクセのある趣味嗜好に共感してくれる、強烈な自己主張を持った骨太なブラザーと楽しめればいい。

「Original Garment Brothers」は生活の基盤となる生業ではあるが、何よりも自分自身が楽しいことを貫きたい。楽しむ……、言うのは簡単だが、実現するのは実は難しかったりする。

だから、本気でモノ作りに向かう。中途半端な気持ちでは、中途半端な楽しさしか手に入らない。

なぜ、「OG-9」のレポートも終盤となった今、あらためて精神論を語るのか。それは、ブラザーにお届けするプロダクトを作り上げる、職人たちの本気を伝えたいからだ。

先日、とある出来事があった。

前回のレポートで完成した最終仕様の「OG-9」。自宅に持ち帰り、実際に紙幣やカード、小銭を入れてみた。あえてパンパンになるまで入れてみた。すると、ウォレットが膨らんだことによって、微かにジッパーがウォレット内部に干渉することが判明した。ほんの微かに、だ。

おそらく10人に聞けば、9人は「気付かない」「気にならない」というレベル。

そもそも、ラウンドジッパーウォレットにおいて、ジッパーが内部パーツに微かに干渉することは、正直、珍しくはない。特にジッパーの始点と終点の部分は干渉しやすい。さらに、ジッパーの開閉の仕方ひとつ、例えば内側に押し付けるように開閉すれば、やはり内部に干渉しやすい。

でも、修正したい。

オガワはこう見えて神経質なところがある。神経質というか、一度気になり始めると、四六時中、気になってしまう性分。

98%の完成度を100%にしたい。

亀太郎氏にその旨伝えたところ、嫌な顔ひとつせず「もうひとつサンプルを作りましょう」と言ってくれた。ウォレット内部の革の縫い合わせ部分を、コンマ数ミリだけ漉いて薄くすることで、ジッパーの干渉を可能な限り低減させるという。

最終仕様のサンプルをもうひとつ作るには、再度、裁断前の栃木サドルを日光浴させる必要がある。早速、栃木サドルを送ってもらうも、世の中は梅雨真っ只中。しかも、今年の梅雨は、本当に雨ばかり。

まったく晴れの日がない。「早く栃木サドルを日に焼いて、亀太郎さんに戻さねば」と焦るオガワ。それでも天気は晴れない。

やむを得ず、亀太郎氏に「もう少し待ってください!」とLINE。するとノープロブレムという旨と共に、「ちょうどステッチの掛け方を研究していました!」とLINEが返ってきた。そのLINEに貼られていた2枚の写真に、オガワはワクワクが止まらなくなった。

より高い精度で、より強度を確保し、そして、より美しく。最高のプロダクトを届けたい。

オーダーしてくれたブラザーに届ける「OG-9」の本生産に向けて、人知れずステッチの研究と練習を重ねていた亀太郎氏。モノ作りのタッグを組むパートナーとして、これほど頼もしい存在はいない。

ブラザーの元に届く「OG-9」は、そんな百戦錬磨の職人が、現状に満足することなく、さらなる上を目指して作る、本気のウォレットだ。その「凄み」は必ず伝わると信じている。

もし「OG-9」を見た革職人が、同じようなモノを作り、「僕にも出来ますよ」と持って来たとしても、そこにワクワクを感じることはない。共にモノ作りをすることもない。

ワクワクするか。それが、すべてだ。

いよいよ、オーダー開始へ。

ようやく訪れた、梅雨の晴れ間。ここぞとばかりに栃木サドルを日光浴させ、亀太郎氏に送り戻す。そして数日後、2%を克服した100%の最終仕様サンプルが届いた。見た目は変わらないが、ジッパーの干渉は解消されている。

約二週間、徹底的に使い込む。

ここで大きな不具合が発覚すれば、スタートラインに逆戻り。この使用テストが、オガワにとって一番緊張する。特に「OG-9」は小さなウォレットだ。使い勝手が悪ければ、即ストレスとなる。製品化は難しい。

「OG-9」のきっかけとなった深夜のウォーキングはもちろん、日常生活のあらゆるシーンで使い込む。デニムパンツのバックポケットに入れたまま、クルマを運転したり、椅子に座ったり。あえてパンパンに小銭を詰め、少々手荒に扱い、耐久性も確認する。

結論、絶対的自信作。

使うことがこれほど楽しいウォレットに出会ったことがない。ショートウォレットが苦手だった自分自身の価値観を覆す、最高のショートウォレットが誕生した。

ジッパーの開閉、カードの出し入れ、紙幣を半分に折る行為……、すべての動作に心が高ぶる。それはまさに「動作」ではなく「儀式」。

プロジェクトの立ち上げから約4か月、モノの良し悪しを知り尽くしたブラザーに絶対的な自信を持ってお届けできるショートウォレット「OG-9」。

いよいよ次回、オーダー受付開始となる。