オヤジに相応しい、黒と金。

「OG-25」「OG-26」Bucle & studs Belt

ジジィになっても愛用できる、クールな1本。

ベルトに使うスタッズは、アメリカの「Standard Rivet」社製。自作ベルトではニッケルメッキが施されたスタッズ、カラフルなアクリルスタッズを使ったが、今回は真鍮スタッズとブラックのアクリルスタッズを採用した。ダイヤとラウンドのインレイもブラックパイソン。そう、ブラックとゴールド、2色だけで構成された渋いスタッズベルトに仕上げるのだ。

かつて自作した際には、革に穴を開けてスタッズを差し込み、ペンチを使って足を曲げて固定した。サンプル1本であれば対応可能だが、生産本数が増えれば膨大な時間と労力が必要となり、現実的ではない。そして、仕上がりの品質にもバラツキが生まれてしまう。

そこでスタッズと同じ「Standard Rivet」社の「スポッツセッター」を購入することにした。いわゆる、足踏み式の「スタッズ打ち込みマシン」である。いかにもアメリカ製らしい、シンプルで無骨な見た目に反して、価格は24万円ほど。スタッズの形状や直径に応じて、それぞれ4万円ほどのコマも必要になる。

「Original Garment Brothers」のように少量生産、小規模なブランドにとっては、非常にコストパフォマーンスが悪い。だが、美しく安定した仕上がりを求めれば、やはり「スポッツセッター」は不可欠なのである。

素人のオガワも「スポッツセッター」でスタッズを打ってみた。結論から言えば、足で踏み込むだけなので美しくスタッズを取り付けることができた。だが、問題はそれ以前。事前に革に開けた穴が老眼で見えず、スタッズのセットに手こずってしまった。

職人たちの負担を減らすべく本生産時は手伝おうと考えていたが、やむなく断念。オガワよりも少しだけ若く、まだ手元がハッキリと見えると豪語する徳永氏と原山氏に任せることにした。

余談だが、この「スポッツセッター」をグルーバーレザーのファクトリーに置いてもらう代わりに、彼らの自社商品の製作に自由に使ってもらうことにした。ビジネスにおいてタッグを組むということは、互いにメリットがなければ意味がない。強固な信頼関係があってこそ、素晴らしいプロダクトが生まれるのだ。

革に魂を宿す。

厚さ3.9ミリ均一に漉いた栃木レザーを38ミリ幅に切り出す。スタッズを打ち込むことで革幅が若干伸びるので、最終的には40ミリ幅ほどに仕上がる。

切り出した革に印刷したデザインを重ね、スタッズの足を差し込む穴を開けていく。そして、スタッズをセット。

使用するスタッズの専用コマを「スポッツセッター」に取り付け、スタッズを挟み込むように圧着していく。スタッズの足の曲がり具合も均一で、ベルト裏面も美しい仕上がりとなる。

ブラックパイソンのインレイ周囲にも、同様に「スポッツセッター」を使いスタッズを打ち込む。インレイはボンドで革に貼り付けているが、スタッズの片足を貫通させることで、より強固に取り付けている。

スタッズの打ち込みが完了したら、ベルトのコバを綺麗に仕上げ、バックルを装着するための穴開けとボタン付けを行う。

真鍮製スナップボタンによる4点留めのため、バックルやベルトの交換が手軽に行える。

サンプルのスタッズベルトが完成した。2010年に自作した「D-BROS」のベルトが、新たに「O.G.BROS.」として生まれ変わった。当時から15年が経ち、50歳を超えたオヤジの腰元に相応しい「ブラック×ゴールド」のスタッズベルト。

まさに感無量である。