12年の時を経て、復活。

「OG-11」Silver Top(End)

瞬く間に完売した、幻のモデル。

今回発表するコラボモデル、実は2008年にごく少数だけ販売されたことがある。

「Daytona BROS」の編集長を務めていた時のことだ。2008年に発刊した「Daytona BROS Vol.07」の誌上企画。

オガワが理想のシルバートップを描いたラフスケッチを元に、伊藤代表がシルバートップを製作した。「矢じり」と「フェザー」を組み合わせ、K18のワンポイント付きというデザイン。上写真が、それだ。

限定30本で販売したところ、瞬く間に完売。その後も編集部に「もう購入できないのか」という問い合わせが殺到したことを、今でも鮮明に覚えている。

あれから、12年になる。

ここでは掲載できないが、「Daytona BROS Vol.07」の誌面には、若かりし頃の伊藤代表とオガワのツーショットが掲載されている。

伊藤代表とオガワは1974年生まれの同い年。2008年はお互いに34歳。一般的には若人ではない年だが、今と比較すると明らかに若い。12年という月日の長さを感じさせる、懐かしいツーショットだ。

伊藤代表の男気。

この12年間、伊藤代表のファーストアローズはさらなる発展を遂げ、今や世界中にディーラーを持つ一流シルバーブランドとして不動の地位を確立した。そして、商品ラインナップも大幅に増えた。

だが、伊藤代表は使わなかった。

どれだけ有名になろうが、どれだけラインナップが増えようが、2008年にオガワと共に作ったこのデザインを、伊藤代表は使うことはなかった。今でも、ファーストアローズのラインナップに、このデザインはない。

オガワにしてみれば「Daytona BROS Vol.07」の誌上で販売したモデルは、あの時だけの限定であり、その後、ファーストアローズが同デザインを使うことがあっても、まったく異論を唱える立場ではない。

わずか1〜2日で30本が完売し、購入できなかった人からの問い合わせが殺到したモデルだ。ビジネスとして考えれば、少し期間を空けて再販するのが常套手段だ。

それでも、伊藤代表は使わなかった。

それどころか「あのデザインを使いたい」というコラボの打診に対し、都度「オガワさんと作ったデザインだから」と丁重に断ってくれていたことを後で知った。さすがに目頭が熱くなった。

あのデザインを、復活させたい。

「Original Garment Brothers」を立ち上げた当初から、いつか伊藤代表とコラボレートし、あの時のデザインを復活させたいと思い続けてきた。

自らラフスケッチを描いた思い入れの強いデザインは、「Original Garment Brothers」のプロダクトとの相性も抜群。骨太なブラザーの胸元に、最高に似合うと確信したからだ。

そして、もうひとつの決定的な理由、オガワ自身が持っていないから。

最初は1本購入して愛用していたが、誌上販売の数か月後に、オガワのリクエストで1本だけ、オールK18モデルを伊藤代表に作ってもらった。現在も愛用しているゴールドトップだが、こいつを使い続けている間に、不覚にもシルバーモデルが行方不明になってしまった。可哀想なことをした。

ゴールドにはゴールドの魅力があるが、シルバーにはシルバーの魅力がある。そして、もう一度、あの時のシルバーモデルをこの手で握り締めたい。

作ろう。

伊藤代表に、12年前のモデルを復活させ、「Original Garment Brothers」のプロダクトして販売したいと伝えたところ、快諾してくれた。それどころか「オガワさんの定番モデルにしてください」という有難い言葉まで頂いた。

数週間後、伊藤代表からLINEで送られてきた写真には、「あのモデル」が写っていた。

12年前には裏面に刻印されていた「Daytona BROS」のロゴ、そしてシリアルナンバーは無いが、紛れもなく、あの時のシルバーアロー、そのものだ。

自らの不注意で紛失した自責の念と申し訳なさ。喉の奥に刺さっていた棘が、すっと消えていく感覚だ。

こんなに嬉しいことはない。