馬革で「7」を仕立てる。

Leather JKT 2023

品番は「OG-20」。

新しい景色を見るために、新たな馬革で仕立てる、新たな一着。多くのブラザーに支持されている「OG-7」をベースに、独自のアレンジを加えて馬革JKTに落とし込む。

ダック生地で仕立てた「OG-7」は、アタリや褪色による枯れたエイジングが特徴だ。シワくちゃになり、表面が擦れ、下地のブラウンが剥き出しになった姿を目指す「OG-20」のベースとして、申し分のないモデルだ。

Gジャンタイプ「OG-5」を発表した時、「使えない胸ポケットは要らない」と言い放った。だが、「OG-7」と同寸法に設定した「OG-20」の胸ポケットは使える。「OG-7」で実証済みだ。

ただし、オガワが「OG-20」の胸ポケットに収めるモノは3つしかない。「iPhone 13 Pro」「ミンティア」「駐車券」。近日「iPhone 15 Pro」に機種変更予定だが、ほぼサイズが同じなのは確認済み。「OG-20」の胸ポケットは、この3アイテムの収納に大活躍してくれるだろう。

胸ポケットにはシボを使う。シボの量や表情には個体差があるが、シワが浮きやすい部位を積極的に使うことで、胸ポケットを付けたことによる着用時のストレスを低減させる。ジャケットの骨太感向上にも、大いに貢献してくれるだろう。

2023年9月。ファクトリーであるワイツーレザーを訪れ、「OG-20」のサンプル製作に立ち会った。目の当たりにしたのは、職人たちの高度な技術と妥協なきモノ作り。ここで紹介するのは全工程の1割にも満たないが、少しでも職人の情熱、モチベーションを感じ取って頂けたら嬉しい。

重要なのは、美しいバランス感覚。

ワイツーレザーの裁断師である山田氏によって、各パーツに切り出される。オガワの好みを知り尽くし、理想の裁断を行ってくれる。

ワイツーレザーのモノ作りは、見えない部分にも絶対に手を抜かない。下準備として、厚さの異なる芯材を適材適所に貼り合わせていく。

ポケットの折り返し部分にご注目。不規則な切り込みやカーブは、縫製時に美しく収まるように、緻密に計算されている。

「OG-7」と同寸法に設定した胸ポケット。「OG-20」の顔となる部分なので、大きさ、左右のバランスを細かくチェックする。

ジャケットの良し悪しを決めるのは、襟の左右バランスと言っても過言ではない。特にオガワは襟のカタチや大きさに神経質だ。

襟の先端には細心の注意を払う。写真の状態から折り返して襟が完成するが、しっかりと芯材が貼られていることがわかる。

見えない部分に注ぐ、惜しみない労力。

「OG-7」は袖口にカフスとボタンが付くが、「OG-20」は上下2枚のパーツだけで構成するシンプルな筒状の袖。「2」「12」と同じ仕様。

袖口が綺麗に折り返るように切り込みを入れている。茶色のテープは、裏地に縫い付けることで必要以上に動かないようにするパーツ。

胸ポケットには馬革のシボが多い部位を使う。非常に柔らかいため、着用時にストレスを感じない。見た目もかなり骨太になる。

ポケット口は突起がない「Original Garment Brothers」のオリジナルリベットを打つ。裏側には芯材を貼って、しっかりと補強。

正確無比、手際良く縫い進める高度な職人技に圧倒される。そして、新たに仕込んだ馬革の表情、質感、しなやかさに見惚れる。

縫い上がった「OG-20」。職人は各部のチェックに余念がないが、オガワは早く袖を通したくてソワソワ。この瞬間が本当に嬉しい。