「OG-29」オーダー開始。

Leather JKT 2025

オヤジが羽織れるダブルを作る。

今まで数十着のレザーJKTを所有してきたが、ダブルは一着も手にしたことがない。それどころか、袖を通したのも数回程度。雑誌編集長時代、撮影時に着用しただけだ。

シングルやダブル、カーコートやGジャン、フライトJKTなど、レザーJKTには数多のスタイルが存在する。その中でも、あの鎧のようなダブルライダースは特に敷居が高く、強烈な苦手意識を持った存在だった。

一方で、いつかは理想のダブルを作りたい、苦手な自分が袖を通したくなるダブルを作りたい。心の片隅で、そう思い続けてきたことも事実だ。2018年に「Original Garment Brothers」を立ち上げ、2〜3年目くらいから「ダブルを作ろうか」「いや、まだ早いか」という、葛藤にも似た自問自答を繰り返してきた。

きっかけは「50」。

2024年5月、オガワは50歳になった。今まで自分の年齢に影響を受けることはなかったが、「50」という数字は初めて自分の生き方、考え方に大きな影響を及ぼすことになった。

気持ち的には120歳までバリバリ生きるつもりだが、一般的には50歳は人生の折り返し地点を過ぎた年齢と言える。

世間の定年年齢は60歳。今年から企業には「65歳までの継続雇用制度」の導入が義務付けられた。オガワは個人事業主なのでやりたいだけやって、止めたくなった時に廃業するが、それでも精力的に動けるのは、あと10年、15年だと思っている。

2018年に「Original Garment Brothers」を立ち上げて、気が付けば7年。この先10年、15年など、あっという間だ。そんなことを考えていたら、焦りにも似た感情が押し寄せてきた。

時間がない。もっとワクワクするモノ作りがしたい。迷っている時間がもったいない。年々生え際が後退し、減少の一途をたどる毛量。限りある毛髪でオールバックが作れるうちにダブルを作りたい、着てみたい。今シーズン、ダブルライダース「OG-29」を作る決断をした理由は、そこに尽きる。

■鎧のようなカッチリ感
■大袈裟すぎる襟
■ポケットの多さ
■不要なディテールの排除

脳内に描いた「今この瞬間の理想のダブル」をカタチにする。それはすなわち、ダブルに抱き続けてきた苦手なディテールをすべて克服することでもあるのだ。

シワが浮きたくてウズウズしている馬革。

「鎧のようなカッチリ感」を克服するために、2023年に独自に作り上げたハンドフィニッシュによるフルベジタブルタンニン鞣しの馬革を使うことにした。職人が「手染め」で仕上げを行うことで、シワやシボ、天然の表情がダイレクト、かつダイナミックに楽しめる「革好き」には堪らないマテリアルだ。

下地をややオレンジを帯びた明るめの茶色で染めることで、コントラストが効いた見事なエイジングを楽しむことができる。上写真は従来の馬革で仕立てたウォレットと比較した、茶下地の色の違いだ。

革厚は1.3ミリ。タンナーで仕上がった馬革を漉き屋に送り、1.3ミリ均一に割る。若い頃はぶ厚い馬革JKTも気合いで着こなせたが、オヤジになると気合いよりもストレスが勝る。だが、薄っぺらい馬革ではオヤジの嗜好品としての役目は果たさない。様々な厚みを検証し、オガワが導き題した「馬革の黄金厚」が1.3ミリなのである。

それだけでは満足できない。

1.3ミリに割った後、再びタンナーに送り返し、大きなタイコに入れてじっくりと揉み込む。「ミーリング」と呼ばれ、この「ひと手間」により、体に馴染みやすい柔軟な馬革へと昇華させる。表面には小皺が生まれ、より大きなシワが浮きやすい革質になる。オガワはこれを「シワが浮きたくてウズウズしている瞬間の馬革」と呼んでいる。

上写真は完成したサンプルを約三週間、キンキンに冷やした仕事部屋で毎日6時間以上、着込んだ姿だ。馬革は早くも覚醒し、馬革JKT好きには堪らない表情を見せている。

着込んだと言っても、実際は半分以上の時間を手で揉み込むことに費やした。「暇人」と馬鹿にされるかもしれないが、それがこの馬革との正しい付き合い方であり、儀式。体を覚えさせるのはその次でいい。

この馬革の詳細は過去レポート「新たな馬革 Hand Finish」をご覧頂きたい。

テーラードのような襟。

2025年5月、生産ファクトリーであるワイツーレザーにて、ダブル製作の打ち合わせを行った。数々のリクエストを職人たちに伝えたが、もっとも強く訴えたのが「大き過ぎない襟」「シボを使った襟」そして「テーラードのような襟」である。

ダブルライダースは前身頃が重なり、前立てを折り返すスタイルゆえ、襟が大きく、フロントがヘビーになる。それが、あのカッチリとした鎧のような佇まいの原因だ。それを解消するために、パタンナーに「理想の襟幅」「折り返す前立ての幅と距離」を具体的な寸法で伝えた。

さらに「襟」と「前立て」に馬革のシボを積極的に使うことにした。前立ては折り返した時のフロント側にシボを優先的に使う。言葉では少々わかりづらいと思うが、つまり前立ての裏面にシボを優先的に使うことになる。

この2枚の写真の違いがわかるだろうか。上は「OG-29」、下はワイツーレザーのダブルライダース。実は襟の取り付け方が異なる。

一般的なダブルライダース(写真下)では、襟を前立てに挟んで取り付ける「挟み込み」が多い。一方「OG-29」は「割り付け」と呼ばれる方法で取り付けている。

テーラードJKTのように収まりが良く、主張し過ぎない襟がいい。打ち合わせ時に伝えたオガワのリクエストに応えて、ファクトリーが採用してくれた「割り付け」。まさにテーラードJKTの襟の取り付けと同じ製法。これにより、ダブルライダースでありながら、収まりが良く、主張し過ぎない襟を実現することができたのだ。

研ぎ澄まされた日本刀のようなダブル。

「研ぎ澄まされた日本刀のような一着」を目指し、2018年に発表した「OG-1」。その後継モデルがシングルライダース「OG-2」である。不要なディテールを排除し、シンプルを極めた「OG-2」のDNAを、そのままダブルライダースに注ぎ込んだ。

襟や折り返した前立てを留めるスナップボタンは要らない。フロントポケットはジッパー無し。胸ポケットも内ポケットも無い。外袖、内袖、2枚のパーツのみで構成した、シンプルな筒状の袖。袖先のジッパーも要らない。

背中のヨークは直線。肩周りがボコッと膨らむアクションプリーツは嫌いだ。後ろ姿は「OG-2」と同じ。それがいい。

フライトJKT「A-2」をモチーフにした襟ラベル。ゴールドのユニバーサルジッパー。身頃&袖にはダークブラウンのコットンライニング。汗でペタペタするナイロンライニングは好みではない。

ご存知の通り「Original Garment Brothers」のレザーJKTは大阪にファクトリーを構えるワイツーレザーで生産を行っている。モノ作りに対する姿勢、価格設定、アフターサービス、そして未来に向けた職人の育成に至るまで、愚直なまでにモノ作りに向き合う職人集団。すべての「Original Garment Brothers」のレザーJKTには、感謝とリスペクトの気持ちを込めて「Y2 LEATHER」のラベルを縫い付けている。

ファーストからセカンドへ。

「OG-29」のサンプルには、ファーストとセカンドが存在する。修正したのは2箇所。襟の角度とポケットの高さ。下写真のように並べて撮影しないとわからない程度の変更点。

上がファーストで下がセカンド。少し下を向いていた襟を真横に向くように修正した。

左がファーストで右がセカンド。ポケットの位置を1.5センチ下げてより使いやすく、見た目のバランスも良い位置に変更した。

コスト節約、時間的効率を優先するのであれば、本生産時に修正すればいいのかもしれない。だが、やはり最終形が見たい、見せたい。モノ作りの魅力に取り憑かれた男の悲しき欲求。気が付けば、レザーJKTに限らず様々なサンプルで倉庫が溢れ返っていくのである。

ダブルが苦手な男のためのダブル、完成。

「Original Garment Brothers」を立ち上げ、初のオリジナルレザーJKTを世に問うた2018年。あの日から八度目の秋に発表する、人生初のダブル「OG-29」。まだまだカタチにしたいレザーJKTはあるが、オガワのモノ作りの一区切りであることも事実である。

ダブルが苦手だとSNSに書いたところ、コメントやDM、メールにて同様のブラザーが多数いることに驚かされた。今回作り上げた「OG-29」は、そんなブラザーにこそ楽しんで頂きたい、そしてワクワクを共有したい一着に仕上がっている。ぜひともご検討頂きたい。よろしくお願いいたします。

<参考データ>
身長:165センチ
体重:76キロ
胸囲:108センチ
ウエスト:34インチ(そろそろ33インチにサイズダウン)
「OG-29」のサイズ:38
※2025年10月の撮影時点
※絶賛ダイエット中により、昨年10月より7キロ減。

<サイズチャート>

■肩幅:左右の肩(頂点)の直線距離
■着丈:背中の中央。襟の取付位置から裾の下端までの直線距離
■バスト:胸回りをぐるりと1周した寸法
■袖丈:肩の頂点から袖の先端までの曲線距離
※サイズチャートの寸法には誤差が生じる場合があります。
※おおよその身幅(左右の脇下の直線距離)は、上記バスト寸法から2センチを引いて、半分に割った数値となります。
※「Original Garment Brothers」のレザーJKTは、スタイルによる着用感の違いはありますが、基本的にどのモデルもサイズ感を統一しています。

<価格>
13万8000円(税抜)

※全サイズ共通
※一部入金によるオーダーも可能です。詳細は「O.G.BROS.SHOP」の商品ページをご確認ください。

<素材>
馬革(フルベジタブルタンニン鞣し)

<カラー>
ブラック(ハンドフィニッシュ/茶下地)

<革厚>
1.3ミリ

<納期>
2026年2〜3月(順次デリバリー)

オーダーを受けてから革を仕込むため、タンナーの作業状況、天候等によって早まる場合もあれば、遅れる場合もあります。今後の社会情勢による流通への影響などにより、納期が大幅に遅れる可能性もあります。そのことをご理解の上、オーダー頂きますようお願いいたします。納期の遅れが発生した場合にお待ち頂けない方は、オーダーをお控えください。

納期に大幅な遅れが生じる場合には、当方より個別にご連絡を差し上げますので、納期内(2026年2〜3月末)における詳細スケジュール等のお問い合わせはご遠慮頂きますようお願いいたします。「1日でも早く手にしたい」と思って頂けることは非常に嬉しいことですが、当方からファクトリーに個別の納期確認をする度に作業がストップしてしまうため、ご理解とご協力をお願いいたします。

例年、1か月半〜2か月ほどのオーダー期間を設けていますが、想定を超えるオーダーが集まった場合には告知することなくオーダー受付を終了させて頂くことがあります。

以下も必ずご確認ください。

※お一人様、各モデル一着のオーダーとさせて頂きます。異なるモデル(例えば「OG-2」と「OG-29」)、同一モデルでも色違い・素材違い(例えば「OG-2」の馬革モデルと鹿革モデルなど)は可能です。
※オーダー時に商品代金の全額(別途送料含む)、もしくは一部前金として3万円(税抜)のお支払いをお願いします。
※一部前金として3万円(税抜)をお支払い頂いた場合は、ジャケット完成時に残金10万8000円(税抜)+送料1000円(税抜)をお支払い頂きます。
※メールによるジャケット完成のご連絡後、5日以内に残金のお支払いをお願いいたします。
※完全受注生産のため、ご購入者様のご都合による予約のキャンセル、モデル変更、サイズ交換、返品、返金はできませんのでご注意ください。
※シワやシボの量や場所、色味には個体差があります。それらに関するリクエストやお問い合わせ、クレームは一切お受けできません。
※天然の「傷」「血筋」「トラ目」などが入る場合もあります。
※サイズチャートの寸法には誤差が生じる場合があります。
※写真は実際の商品の色味と異なる場合があります。
※写真のジャケットは着用サンプルです。お届けするのは新品のジャケットとなります。
※移染する場合がありますので、他の衣類や物に接する場合はご注意ください。
※炎天下の車内や火の近くなど、高温になる場所での保管や着用により、ジッパーやボタン、リベットが熱くなることがあります。くれぐれも火傷にご注意ください。
※肌や体に異変を感じた場合はすぐに着用を中止し、医師にご相談ください。
※火傷やその他の怪我など、いかなる場合でも責任を負い兼ねます。
※当製品における他製品への、色移り、汚損、破損、欠損、損害など、いかなる場合でも責任を負い兼ねますので、取り扱いには十分ご注意ください。
※オーダーを頂いた時点で、上記(納期も含む)、「O.G.BROS.WEB」「O.G.BROS.SHOP」内のすべての記載事項について、ご了承頂いたものとさせて頂きます。

オーダーは「O.G.BROS.SHOP」にて

O.G.BROS.SHOP

<メール受信に関して>
主に携帯キャリアメール(docomo、ezweb、softbankなど)において、オーダー時の自動送信メールは届いているにも関わらず、その後の手動メールが届かない事例が多発しております。オーダー確認後、1〜2日以内には必ず手動メールをお送りしていますので、オーダー手続きから3日以上経過してもメールが届かない場合には、大変お手数ですが(shop@ogbros.shop-pro.jp)までご連絡頂けますようお願いいたします。

オーダー前に、ショップアドレス(shop@ogbros.shop-pro.jp)の受信設定をして頂くと確実です。

Gmailアドレス宛の場合、迷惑メールフォルダなどの別フォルダに振り分けられることも多くなっておりますので、お問い合わせ前にご確認くださいますようお願いいたします。