「革ジャンのようなウォレット」再び。

「OG-8」Leather Walet(End)

この馬革に、惚れた。

2018年に立ち上げた「Original Garment Brothers」の原点、それは紛れもなくロットナンバー「1」を与えたレザーJKT「OG-1」。日本を代表するレザーJKTファクトリーである「Y’2 LEATHER」の協力のもと、国内の小さなタンナーで、頑固一徹の職人が鞣す極上の馬革。

フルベジタブルタンニン鞣しの馬革は、銀面と床面をブラック、芯の部分のみブラウンに染めた「茶芯」に仕上げている。さらに、表面に一切の処理を施さず、「傷」「皺」「血筋」「虎目」など馬本来の表情をダイレクトに見せる「素上げ」により、使い込むほどに風合いを増し、「唯一無二」の相棒へと昇華する。

本気で10年、20年と使える馬革。

すでに「OG-1」を所有しているブラザーは気付いているだろう。この馬革、手強い。まるでゴムのようなコシと弾力がある。袖を通し、腕を曲げれば「ギシギシ」と音がする。業界では「革が泣く」と言うらしいが、革の内部にしっかりとタンニンが含まれている証しでもある。

目指すのは、本気で10年、20年、着込めるレザーJKTだ。話題性を煽る分厚さは不要だが、しっかりとタンニンを含ませ、耐久性を高めるための努力と時間は惜しまない。

1〜2シーズンで全体に皺が走り、擦れた表面に現れた茶芯とのコントラストを楽しめるレザーJKTも多い。個人的には、かなり惹かれるものがある。だが、何度も言わせてもらうが、1〜2年でコシが無くなり、いとも簡単に表面が剥げて茶芯が現れては、耐久性に不安が残る。

最低でも5年、やっぱり10年、できれば20年。長年使い込んだ時に「もう手放せない」となる相棒でなければいけない。それを実現できるマテリアル。この馬革に惚れ込んだ理由は、そこにある。

「OG-1」最後の馬革。

「OG-1」の馬革でウォレットを作りたい。そう思い立ち、レザーウォレット 「OG-3」のプロジェクトを立ち上げたのは2018年暮れのことだった。

ブラザーたちからオーダーを頂戴した「OG-1」の着数分の馬革を鞣す段階で、「OG-1」の第二弾……つまり2019年秋に発表する第二弾のサンプル製作用の馬革も確保。さらに、予備ストックとして半裁にして数枚の馬革を確保していた。

2019年1月に発表したレザーウォレット 「OG-3」は、その予備ストックの馬革で仕立てたことは、「OG-3」の製作レポートにてお知らせした通りだ。

お陰様でオーダー開始から間も無くして、予備ストックとして確保していた馬革の生産上限個数に達し、オーダーストップ。一部のブラザーだけが所有する、限られたウォレットとなった。

仕様変更が生んだ、偶然のプロジェクト。

レザーウォレット 「OG-3」のオーダーストップ直後から、多くの方々より再販のリクエストを頂戴した。だが、残る馬革は、「OG-1」に次ぐレザーJKT第二弾のサンプル分しか残っていない。

ところが、だ。

「OG-1」の第二弾である「OG-2」の企画段階において、急遽、茶芯の色を変更したくなった。「OG-1」では、より茶芯が目立つように明るい茶褐色に染めた。「OG-2」では、もう少し濃い茶色に変更することにした。「OG-1」ほど茶芯は目立たないが、反面、アダルトでクールな茶芯を目指した。

オガワの思い付きによる仕様変更で、急遽、茶芯の色を変更した新たなサンプル製作用の馬革を鞣すことになった。そのため、本来「OG-2」のサンプル用に確保していた「OG-1」の馬革が自由に使える状況になった。

ならば、リクエストが多かったレザーウォレットを仕立てようと、プロジェクトを立ち上げたわけだ。

「OG-1」や「OG-2」や「OG-3」という、似たような品番が度々登場し、混乱させて申し訳ないが、わかりやすく説明すれば……

■私の気まぐれで「OG-2」の馬革を仕様変更。

■「OG-2」サンプル用に確保していた「OG-1」の馬革が使用可能に。

■再販のリクエストが多かったレザーウォレットを作ろう。

となった次第。言い換えれば、今回のプロジェクトで仕立てるウォレットが、「OG-1」の馬革を使って仕立てる正真正銘、最後のウォレットとなる。