エイジングで完成するウォレット 。

「OG-8」Leather Walet(End)

「OG-3」の1年後の姿。

まずは、前作「OG-3」の1年後の姿をご覧頂きたい。オガワ自身が1年間、ほぼ毎日使い込んだ個体だ。

レザーJKT「OG-1」のためにオリジナルで仕込んだ茶芯馬革。その魅力を堪能するために、決して譲れなかったディテールがある。一般的なウォレットのように裁断面を磨いて仕上げる「コバ」ではなく、革ジャンの袖や裾のように折り込んで縫い上げる「ヘリ返し」によるエッジ処理だ。

このディテールにより、革ジャンの袖や裾、エンジニアブーツの履き口のような、レザーラヴァー垂涎の茶芯を楽しむことが可能になる。しかも、仕立てるプロダクトはウォレットだ。1年365日、手元とバックポケットを何百、何千回と行き来する。エッジが擦れる頻度は、レザーJKTの比ではない。

目論見通り、オガワが1年間使い続けた「OG-3」は、至る所が擦れて茶芯が現れ、己のライフスタイルが如実に現れた、相棒と呼ぶに相応しいウォレットに成長していた。

ガラスのような光沢。

エッジの茶芯だけではない。使い込むほどに現れる、抜群の光沢も、レザーラヴァーにとっては最高のご馳走。私は常にジーンズのバックポケットに「OG-3」を収める。出し入れする度にポケット口と擦れ、いつしか馬革は、命を宿したかのような生き生きとした輝きを放つ。

特に光の加減で、ガラスのように輝く瞬間がある。まさに至福の瞬間。この一瞬に出会えただけでも、このウォレットを手にした価値はあると思っている。

ご馳走はそれだけではない。

この光沢に、エッジではなく表面が擦れてわずかに現れた茶芯が交わることで、ゴールドのラメのような表情を見せる瞬間もある。料理に例えるなら、メインディッシュではなくデザート。これもまた、ご馳走様。

飴色の栃木サドルも味わう。

ウォレットを開いても、心高ぶる。内部には日本が世界に誇る「栃木サドル」。アメリカンカジュアルを愛する者であれば、栃木サドルの「飴色」に夢中になったことがあるはずだ。

あの頃に戻ろうではないか。シンプルを貫いた内部レイアウトは、飴色を味わう最高の舞台。ブランドのロゴさえ、もはや邪魔となる。

まだまだ、2〜3割。

自分でも惚れ惚れするような「茶芯」「光沢」「飴色」を見せる「OG-3」だが、まだまだ、秘めたるポテンシャルの2〜3割。完成と呼ぶには程遠い。このウォレットが魅せるの本当の凄みは、まだ知る由も無い。

頑固一徹の職人が秘伝のレシピで鞣す馬革。日本が世界に誇る栃木サドル。それらのマテリアルが持つ底なしの魅力をひとりでも多くのブラザーに楽しんでもらうため、今回のプロジェクトで仕立てるウォレットも、「OG-3」と同じ素材、同じデザインを継承する。

ただひとつだけ、ウォレットととしての個性に味付けを加えたいと思っている。それは次のレポートにて説明させて頂こう。