3年目の馬革バッグ。
これほど多くのブラザーに共感してもらえるとは……。プロジェクト立ち上げ当初は、まったく予想もしていなかった。オージーブロスが企画してきた数々のプロダクトにおいて、再販のリクエストが圧倒的に多い「OG-6」。しかも有難いことに、その声は日を追うごとに増えている。
きっかけは、日常の何気ない一場面だった。出張が大好きなオガワが、飛行機や新幹線での移動中、ウォレットとスマホの置き場所に困ったことが、このプロダクトの原点。
バックポケットに入れたまま腰を下せば、たちまち80キロ超級の圧力が、寂しがり屋のオガワの拠り所「iPhone」を無慈悲に破壊し、ライフラインである「クレジットカード」を瞬く間に再起不能に追い込む。
ならば、バッグを作ろう。大きなバッグは好きではない。小さなバッグがいい。
「Daytona BROS」編集長時代からの長い付き合いであるフラットヘッドとタッグを組み、馬革バッグ「OG-6」を完成させたのは、2019年春のことだった。
その経緯は、過去のレポートに詳しく記載しているので、お時間のある時にご覧頂きたい。
もはや「OG-6」が手放せない。飛行機、新幹線を使う地方出張はもちろんのこと、遠距離、近距離を問わず、外出時には常に連れ回している。取材撮影時には、フジ「X-T1」とレンズ2本を放り込み、現場へ向かう。こいつが傍にいないと不安になるほど溺愛している。最高のパートナーだ。
大は小を兼ねない。
この言葉は「OG-6」のために存在すると、オガワは勝手に思っている。
初めて「OG-6」の存在を知った方のためにお伝えしておくが、「OG-6」は幅30センチに満たない小さなバッグだ。
ほとんどの雑誌、入らない。
A4の書類、入らない。
ノートパソコン、入らない。
500mlのペットボトル、立てて入らない。
なぜなら……
雑誌はAmazonで買えばいい。
書類はPDFで送ってもらえばいい。
ipadが入ればいい。
(12.9インチのiPad Proは入らない)
ペットボトルは横にすればいい。
とりあえず何でもバッグに詰め込みたい人は、迷うことなくショルダーバッグやナップサックを選んで頂きたい。数倍便利であることは間違いない。
だが、確固たる己のスタイルを持ち、よりシンプルに、より骨太に生きるブラザーであれば、「OG-6」は最高の装備、最高の相棒になってくれる。そしてまた、強烈なワクワクを、日々感じさせてくれることになる。
自画自賛、手前味噌で恐縮だが、これほど絵になる、これほど眺めていたくなるバッグも珍しい。移動中のふとした瞬間、相棒が見せる表情にハッとさせられる。気が付くとカメラで撮影に耽る自分がいる。そして、出張時の宿泊ホテルでは、深夜の撮影が至福の時間となる。
妥協なき手仕事。
詳細は過去レポートを見て頂くとして、ここでは簡単に「OG-6」を解説する。
素材はフラットヘッドが独自に仕込んだ馬革。厳選した原皮を使い、フルベジタブルタンニン鞣し、セミアニリン仕上げによる茶下地の馬革だ。コシがあり、非常にタフ。そして、しなやか。品質の高さは、フラットヘッドのレザーJKTや革小物で実証済みだ。
「OG-6」の特徴的な意匠であるダイヤキルト。フラットヘッドがミリ単位で追い込み、導き出した黄金比ならぬ黄金角度。詳細は企業秘密だが、内部にウレタンなどを挟み込むことで、絶妙な膨らみと心地良い手触りを実現。すべてのステッチは職人の手作業で縫い進められる。
馬革の裁断から縫製、組み立て、仕上げまで、すべてフラットヘッドの革部門「STOCK BURG」の職人による手仕事。そのため、1日に仕立てられる数は極めて少ない。オーダー受付を年に一度限りとさせて頂く理由は、ここに尽きる。
バッグ内部には「THE FLAT HEAD」「STOCK BURG」「MADE IN JAPAN」の文字が打刻されたコードバンの革パッチ。その下に「Original Garment Brothers」の織りネームを縫い付けている。何気ないブラウンのライニングも、フラットヘッドのオリジナル生地だ。
内部片面にはスマホもしっかり収まる内ポケット。ショートウォレット「OG-9」も、この内ポケットに収まるサイズに設定している。
バッグ本体とハンドルを繋ぐ金具は真鍮製。ゴールドカラーのカシメは、フラットヘッドの刻印入りオリジナルパーツだ。
膨大なカラーの中からセレクトした、茶褐色のジッパーテープ。ゴールドのジッパーは使い込むほどに色がくすむ。茶褐色のジッパーテープとのマッチングは、まさに「骨太」な佇まい。
その姿、歴戦のレザーJKT。
上写真は使用サンプルではない。ダメージテストを行った「OG-6」の姿だ。
バッグを何年も使い続けると、壁面や電柱と擦れたり、アスファルトの路面に落としたり、雨に濡れたり、力が加わって変形することもある。それらを想定し、意図的にダメージを与え、耐久性を確認する。心を鬼にして、徹底的に痛めつける。
馬革表面は擦れ、茶下地が顔を覗かす。コーナーやエッジは特に顕著だ。水濡れや変形により、シワも深く刻まれている。だが、バッグとしての機能は損なわれていない。まだまだ問題なく使い込める。タフなヤツだ。
通常の使用において、ここまでの表情になるにはガンガン使い込んで5年、いや10年掛かるかもしれない。過保護に扱えば10年経っても到達しないだろう。
荒々しい表情が好きなら、ガンガン使い込んで育てる。綺麗な状態を保ちたいなら、至極丁寧に扱う。すべては「OG-6」を手にしたブラザーに委ねられる。ブラザーの育て方次第で、馬革の相棒は様々な表情を見せてくれる。
ただ、これだけは断っておきたい。「OG-6」はキズひとつを気にする類のバッグではない。デパートの紳士バッグ売り場に並ぶ、量産品ではない。
歴戦のレザーJKTのように、傷だらけになりながらも、輝きを放つプロダクト。「お前じゃなきゃダメなんだ」と恥じらいもなく言い切れる相棒。
「OG-6」の醍醐味は、ここにある。
馬革の個体差について。
馬革の個体差についても説明しておきたい。フラットヘッド独自のレシピによって鞣された馬革は、実に表情が豊かだ。
国内のタンナーが頑なに守り続けてきた昔ながらの製法は、気温や湿度の影響を受けやすい。加えて、原皮の個体差や天然の表情を活かした仕上げ。一枚一枚、馬革の表情は異なる。「OG-6」に個体差が出るのも必然だ。
シワやシボが少ない個体もあれば、多い個体もある。オーダー時にはその点をしっかりとご理解頂き、一期一会の出会いとして相棒を迎えて頂ければ幸いだ。
※シワやシボに関するご要望は受け付けておりません。
価格は5万4000円(税抜)。
世界中のレザーラヴァーを虜にするフラットヘッド・クオリティ。厳選された独自の馬革を使った、熟練職人によるハンドメイド。そして「Original Garment Brothers」だけの完全オリジナルデザイン。価格は5万4000円(税抜)。
幅30センチに満たない小さなバッグとしては「高い」と感じる人もいれば、長い付き合いとなる相棒であれば「納得」と感じてくれる人もいるだろう。感じ方は人それぞれ。共感してくれたブラザーだけが手にしてくれればいい。何度も言うが……
「不特定多数」よりも「特定少数」のブラザー。
それこそ「Original Garment Brothers」が理想とするモノ作りなのだ。
納期は、5か月前後を予定。
「OG-6」はオーダーを受けてから馬革を仕込む。そして、馬革が仕上がってから、裁断、縫製に入る。すべての工程が職人の手作業によって行われるため、1日、1週間、1か月に仕立てられる個数は限られる。
2019年と2020年のデリバリー実績から、5か月前後の納期を設定させて頂きたい。
オーダーのタイミングによっては、4か月程度でお届けできることもあれば、5か月を超えてしまうことも想定される。何卒、ご了承頂きたい。
2021年度生産分「OG-6」のオーダー受付は今回限りとなるので、ぜひご検討頂きたい。骨太なブラザーとの新たな出会いを想像しただけで、ワクワクが止まらない。
そして「OG-6」がブラザーの元へ届く頃、当たり前だった日常の、慣れ親しんだ光景が、目の前に広がっていることを願っている。
ご予約は「O.G.BROS.SHOP」にて。
O.G.BROS.SHOPTHANK YOU SOLD OUT