今この瞬間の理想の「13」。
2022年1月に極少数をリリースして以来、実に約4年振りとなる「OG-13」。前回はナチュラルの多脂革で仕立てたが、今回はブラックのサドルレザー。どちらも世界にその名を知られる「栃木レザー株式会社」が昔ながらの製法で鞣し、仕上げた極上皮革だ。
だが、「OG-13」という品番、サイズ、デザインこそ同じではあるが、ふたつのバッグが持つキャラクターは似て非なるものである。無論、そのプロダクトに何を求めるかの違いであり、優劣でないことは言うまでもない。

飴色を目指した「多脂革の13」。
過去のレポートでお伝えした通り、2022年にリリースした多脂革の「OG-13」は、フラットヘッドのレザー部門「ストックバーグ」の職人たちが手掛けたプロダクトだ。触ることさえ躊躇する色白の多脂革が、紫外線を浴びることで小麦色、飴色へとエイジングする過程を楽しむことを最大の目的として製作した。各部の縫製仕様、革厚などは、フラットヘッドが長年培ってきた経験に基づく最適値に設定され、製作を行った。
バッグのバリエーションが増えた現在、使用頻度は低くなったが、不具合が発生することなく現役で活躍してくれている。さすがはフラットヘッドクオリティである。

堅牢性を追求した「サドルの13」。
一方、今回リリースする「OG-13 Tochigi Black」は、2022年8月からタッグを組み始めた「Groover Leather」の徳永代表、原山氏、そして在籍する職人たちが手掛けるプロダクトだ。
元々「ストックバーグ」の職人だった徳永氏、原山氏は、オガワが雑誌編集長時代から頻繁に取材をさせて頂いた間柄。「Groover Leather」と「Original Garment Brothers」、最高のモノ作りを目指して独立した者同士、それまで以上に手間や時間や効率や利益を度外視したモノ作りに没頭できる環境となった。
すべてのディテールを見直し、再構築した馬革バッグ「OG-6」は、年々オーダー数が増加し、不動の人気を誇る「The Origin」となった。2023年にはオガワが夢にまで見た、手縫いのクロコバッグ「OG-19」も発表することができた。

そして「OG-13」。実はこのプロダクトのきっかけはスタッズベルト「OG-26」だった。徳永代表に手配してもらったベルト用の栃木サドル。繊維をギュッと締めて仕上げたタフな革。染料仕上げのため、表面の擦れと経年の褪色により、下地のブラウンがじわじわと浮き上がり、革好きには堪らないエイジングが楽しめる。
それ以上にオガワの脳内を刺激したのは、その堅牢さだ。圧倒的な硬さとコシ。裁断前のそれは、まるで板のようだ。「この革でバッグを作りたい」「今までにない堅牢なバッグを作りたい」反射的にそう思ったのである。

職人泣かせの3ミリ厚。
「思い立ったら即行動」がオガワの信条。さっそくサンプルの製作を依頼。徳永代表、原山氏と話し合い、バッグ本体の革の厚さは3ミリに設定した。今までのバッグにはないガッチリ感と強度が得られる厚さ。ブラザーからオーダーを受けた一定数の製作時に、バラつきがなく高品質を維持できる限界の厚さだ。
スタッズベルトが3.9ミリ厚であることを考えれば、3ミリ厚の栃木サドルで仕立てるバッグがいかにタフであるかおわかり頂けるだろう。
参考までに「OG-6」の馬革は1.3ミリ厚。ダイヤキルトにはウレタンや芯材、その他の部分にも床材や芯材を貼り合わせているので、一概に比較することはできないが、革の厚みだけで言えば倍以上である。
「OG-6」や「OG-13」のバッグは、裏返しの状態で各パーツを箱状に縫い合わせ、最後に表に返して完成する。馬革の「OG-6」でも大変な作業だが、繊維を硬く締めて仕上げた3ミリ厚の栃木サドルのバッグを表に返す作業は、想像を遥かに超える腕力と時間、そしてコツが求められる。
オガワが職人だったら、間違いなく首を縦に振りたくない仕事。にも関わらず、高いモチベーションで製作に向かってくれる職人たちには本当に感謝しかない。

2025年6月、サンプルが完成した。目にした瞬間、脳内イメージのさらに上を行く迫力に鳥肌が立った。手にした瞬間、かつてない堅牢な手触りに心が躍った。
ダイヤキルトを纏った「OG-6」を「端正な面構え」とするならば、栃木サドルの「OG-13」は「質実剛健な面構え」である。
シワやシボ、キズやトラ目など、天然の表情がダイレクトに現れる染料仕上げの栃木サドル。3ミリ厚のガッチリとした仕立てが、飾り気のない威風堂々とした存在感を放つ。
最高に気に入った。
まだ「Original Garment Brothers」のバッグを手にしたことがないブラザーはもちろん、既にご愛用頂いているブラザーにもぜひ使って頂きたい。同じブラックでも「馬革」と「牛革」、「顔料」と「染料」、そして「ダイヤキルトの有無」によって、まったく別物のバッグに仕上がっている。
「Original Garment Brothers」がリリースしてきた各種ジャケットやパンツとの相性が抜群であることは言うまでもないが、個人的には黒馬の「OG-2」や「OG-29」、ダックJKTやモールスキンJKTと合わせて楽しみたい。
限定という言葉は嫌いだが……。
「OG-13 Tochigi Black」は硬く締めた栃木サドルを3ミリ厚で使用するため、職人に掛かる負担が大きく、製作にも時間を要する。あくまで「The Origin」は馬革バッグ「OG-6」であることから、「OG-13 Tochigi Black」はスポット的なプロダクトとなる。「限定」という言葉が好きではないので将来的に再販を目指すが、不定期でのリリースとなることをご了承頂きたい。
Detail of OG-13 Tochigi Black
サイズ寸法やディテールは馬革バッグ「OG-6」と同仕様だが、素材が変われば雰囲気も変わる。あらためてディテールを紹介することにしよう。


全バッグ共通となるゴールドのダブルジッパーが、ブラックの栃木サドルに映える。茶褐色のテープカラーはオガワのお気に入りで、各ウォレットにも採用している。マチ(奥行)は約70ミリで自立もする。

ハンドルと根革を繋ぐ真鍮金具、そして「OGBROTHERS」の文字が刻まれたオリジナルの真鍮カシメ。共に経年変化によって渋みが増すパーツ。

バッグに内部には「Original Garment Brothers」のオリジナルラベルを縫い付けている。フライトJKT「A-2」をモチーフにした、黒地に金文字のラベル。

バッグ内部の片面にポケットを設置。収納スペースを左右に分割し、カシメで補強している。厚めの芯材を仕切りに挟み込んでいるので、かなりしっかりとしたポケットになっている。手や収納物が触れることを考慮して、パイピングには栃木サドルよりも柔軟な馬革を使うことにした。
Aging of OG-13 Tochigi Black


2025年6月のサンプル完成から約半年間、使用テストと称し、電柱やコンクリート壁、木製の椅子や机など、日常生活で接触するであろう箇所に、意図的に擦り付けて強制エイジングを行った。見ての通り、擦れた箇所は次第に茶色味を帯びてきているが、それでも下地のブラウン層には到達していない。
5年、10年、15年。表面の擦れや褪色によって、もう少し明るく染めたブラウン層が現れ、コントラストが効いたワイルドな表情を見せてくれるはずだ。

バッグの個体差について。
栃木レザーの熟練職人が昔ながらの製法で仕込んだフルベジタブルタンニン鞣し、染料仕上げのサドルレザーは、天然の表情をダイレクトに楽しめるマテリアルでもある。シワやシボ、キズやトラ目、血筋などがバッグに入ることもあるが、天然皮革の醍醐味、一期一会の出会いとして楽しんで頂ければ幸いだ。革質に関するご要望には一切お応えできないのでご了承頂きたい。
裏返しの状態で箱状に縫い合わせた本体を表に返す際、多少を問わず必ずシワが入る。だが、ワイルドな栃木サドルにとってシワは最高のスパイスであり、強度にも影響がないのでご安心頂きたい。

<サイズ>
横幅:約290ミリ
高さ:約210ミリ(ハンドル含まず)
奥行:約70ミリ
<価格>
5万4000円(税抜)
<納期>
6か月〜8か月
ファクトリーにおける「OG-13 Tochigi Black」の生産は品質維持のため、一度に全受注数を生産するのではなく、生産→納品を数回に分けて行います。そのため、オーダー順が早い場合は6か月前後でのお届けとなる見込みですが、オーダー順が後ろの場合には8か月ほど掛かる場合があります。
オーダー受付開始直後はオーダーが集中するため、オーダー開始直後にご注文頂いた場合でもオーダー順が後ろになり、お届けにお時間を要する場合があります。予めご了承ください。
オーダーを受けてから革を仕込むため、原皮の確保、タンナーの作業状況、天候等によって大幅に納期が遅れる場合があります。そのことをご理解の上、オーダー頂きますようお願いいたします。納期の遅れが発生した場合にお待ち頂けない方は、オーダーをお控えください。
納期に大幅な遅れが生じる場合には、当方より個別にご連絡を差し上げます。予定納期以前(オーダー日より6か月〜8か月)における詳細スケジュール等のお問い合わせはご遠慮頂きますようお願いいたします。ご理解とご協力をお願いいたします。
オーダー前に以下も必ずご確認ください。
※お一人様、1個のオーダーとさせて頂きます。
※「OG-13 Tochigi Black」は完全受注生産です。ご購入者様のご都合によるオーダーのキャンセル、返金、返品、交換はできません。
※シワやシボの量や場所には個体差があります。また、天然の「キズ」「血筋」「トラ目」などが入る場合もあります。それらに関するご要望やお問い合わせ、クレームは一切お受けできません。
※一部の写真は使用サンプルです。お届けするのは新品となります。
※写真は実際の商品の色味と異なる場合があります。
※寸法には誤差が生じる場合があります。
※炎天下の車内や火の近くなど、高温になる場所での保管や使用により、ジッパーや金属パーツが熱くなることがあります。くれぐれも火傷にご注意ください。
※火傷やその他の怪我など、いかなる場合でも責任を負い兼ねます。
※オーダーを頂いた時点で「O.G.BROS.WEB」「O.G.BROS.SHOP」のすべての記載事項にご了承頂いたものとさせて頂きます。
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オーダー前に、ショップアドレス(shop@ogbros.shop-pro.jp)の受信設定をして頂くと確実です。
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