憧れの男たちは、いつも深緑のJKTだった。

「OG-14」Field JKT(End)

ようやく出会えた、骨太なダック生地。

既に多くのブラザーにご愛用頂いている「OG-7」。ライニングにブランケットを使い、肉厚でしなやかという相反する要素を兼ね備えたブラウンのダック生地で仕立てた冬用JKTだ。

このダック生地に惚れ込んでいる。まるで誰かに所有されることを拒むかのような、硬くゴワついた新品時の佇まい。だが、共に過ごす時間が増えるにつれ、次第に心を開き、やがて主の肉体しか受け付けない忠実な相棒となる。

そのプロセスに、馬革やデニム生地と同様、「人間味」を感じずにはいられない。

出会いは突然、訪れた。

生地手配でいつもお世話になっている、岡山児島の「美鈴テキスタイル」鈴木代表。オガワのワガママにも似たリクエストを受け、膨大な生地サンプルの中から、様々なダック生地を提案してくれる。それを一枚ずつ手で触りながら、理想のマテリアルを探る。

だが、何時間、何日掛けても理想のダック生地に出会えない。岡山児島を訪れる度に美鈴テキスタイルに出向くも、やはり出会えない。

さすがに諦め掛けた頃、「そういえば」と何かを思い出したかのように鈴木代表がショールームの奥から引っ張り出してきた生地サンプルこそ、このダック生地だった。

衝撃だった。オガワの脳内で描いていた理想と、すべてが完全にリンクしていた。これしかない。

骨太な男たちへの、強烈な憧れ。

実は、このダック生地には色違いが存在する。モスグリーンだ。いわゆる「カラーバリエーション」としてラインナップされている生地だが、染料の違いによるものなのか、「OG-7」で使っているブラウンよりもさらに肉厚に感じる。

脳内にふたつのシーンが蘇った。

映画「ランボー」。ベトナム戦争の戦友を訪ねたランボーだが、戦時中に浴びた化学兵器の後遺症でこの世を去っていたことを知る。気を落としたランボーは、白い息を吐きながら山間を歩き、田舎町に辿り着く。そこで保安官ティーズルに呼び止められる。この一連のシーン。寡黙なランボーとモスグリーンの「M65」が凄まじくカッコいい。

オガワが愛して止まないドラマ「北の国から」。シリーズ最終回となった「北の国から 2002遺言」では、田中邦衛さん扮する黒板五郎がモスグリーンのドカジャンに身を包んでいた。ドラマでは度々着用シーンが見られるが、五郎が自分で作り上げた小屋でひとり作業をしている時に、宮沢りえさん扮するシュウが訪ねてくるシーンがマイベスト。思い出すだけで涙が溢れる名シーンだ。

それだけじゃない。ロバート・デニーロが映画「TAXI DRIVER」で羽織っていた「M65」は、説明するまでもなく多くの男たちを虜にしている。

このモスグリーンの肉厚なダック生地を使って、彼らが羽織っていたような骨太なジャケットを独自の解釈で仕立てたい。直感的にそう思った。

ファッションや流行とは無縁。ミリタリーウエアやワークウエアとして古くから使われてきたモスグリーン。「強さ」を象徴する色。そして、その奥底に「人間味」「温もり」が垣間見える色。

憧れの男たちに少しでも近付きたいと思う、オガワの欲求から生まれるプロダクト。「Original Garment Brothers」に賛同してくれる、特定少数の骨太なブラザーにこそ相応しいプロダクト。

フィールドJKT「OG-14」のプロジェクトは、こうしてスタートしたのだった。