理想がカタチになる瞬間。

「OG-18」Leather Wallet

「18」の品番を与える。

2023年を目前に控えた12月27日。亀太郎氏から最終サンプルが届いた。凄いウォレットが完成した。かつて見たことがないラウンドジッパーのロング。

今この瞬間の理想形。2020年に「OG-9」を作り上げた時と同じ興奮を覚えた。

前回サンプルからの修正点である、小銭入れの高さ&長さの変更もバッチリだ。上写真(左=修正前、右=修正後)を見て頂ければ良くわかる。

これなら、自信を持ってブラザーに届けられる。このプロダクトに「OG-18」の品番を与えることを決めた。

2023年元日からの三が日、新年の光でウォレット内部の栃木レザーを日光浴させた。

サイズが小さい「OG-9」は内部の日光浴が困難ゆえ、裁断前の半裁状態の栃木レザーを日焼けさせた。一方、「OG-18」は4〜5センチしか開かないとはいえ長さがあるため、太陽光が内部にしっかりと入り込み、栃木レザーを日焼けさせることができる。

方法は至って簡単、栃木レザーにニートフットオイルを薄く塗り、日当たりの良い場所に置いておくだけ。ニートフットオイルは指先に少量取り、塗布すればいい。長時間の日光浴は革にダメージを与える恐れがあるので、様子を見ながら行う。

予め断っておくが、栃木レザーの日光浴は各自の判断と責任で行って頂きたい。もちろん、栃木レザーの日光浴を行わずに使い始めてもまったく問題ない。

日光浴の後、約1か月、徹底的に使用テストを行った。

すこぶる調子が良い。ここしばらくコンパクトな「OG-9」に馴れていたオガワだが、久し振りのロングサイズが心地良い。指先から伝わる箱のようなカッチリ感が、使うほどに気分を高揚させてくれる。

亀太郎氏に「完成」を伝え、製作風景の撮影用にもうひとつ、新たな個体を仕立ててもらうことにした。

Making of OG-18

一般的なラウンドジッパーのロングウォレットよりも、製作に手間と時間を要する「OG-18」。途方もなく緻密で地道な作業が続く製作工程だが、ここではごく一部の手仕事を紹介させて頂く。

ヘリ落しで各パーツのエッジを綺麗に整えていく。非常に地味な作業だが、ウォレットの仕上がりの美しさを左右する重要な下処理。

コバの美しさに定評がある亀太郎氏。独自に配合したオリジナルの磨き剤を塗布して、絶妙な速さ、力加減でコバを磨く。

上がコバ磨き後、下が未処理。その違いは一目瞭然。

馬革のヘリ返し部分、各パーツの貼り合わせ部分などを、革漉き機で漉いて整える。

ブランド名やロゴを目立つ場所に配置することが好きではない。「Original Garment Brothers」の打刻は、通常使用時には見えない場所に打つ。

各パーツの下処理&下準備が完了したら、小銭入れから組み立て始める。

小銭入れを袋状に縫い合わせた後、ヘリ落しでエッジを整え、コバを磨き上げる。

カード収納を組み立てる。革のスペーサーを挟み込み、箱状の空間にすることで、ストレスフリーな出し入れを実現。上げ底にすることで、カードが沈み過ぎないベストな高さに設定している。

小銭入れにカード収納を貼り合わせた図。

小銭入れを挟んだ反対側には、カード収納と同様に箱状に組み立てた札入れ。紙幣30枚以上がストレスなく収まる。

厚みのあるカード収納&札入れのコバを、時間を掛けてじっくりと磨き込む。「コバの神」と呼ばれる亀太郎氏の腕の見せ所。

組み上がった内造り(小銭入れ&カード収納&札入れ)を内張りの栃木レザーに貼り合わせる。

ジッパーを仮止めする。ジッパーは馬革JKT「OG-2」と同じユニバーサル、テープカラーは馬革バッグ「OG-6」と同色。

外革の馬革に栃木レザーを貼り合わせる。写真では見えないが、芯材を挟み込んで強度とカッチリ感を向上させている。

馬革を丁寧に折り返していく。「OG-2」「OG-12」で採用する茶下地の馬革。ウォレットを使い込むことでエッジが擦れ、ブラウンが顔を覗かせる。

コーナー部分は菊寄せ。漉いているとはいえ肉厚な馬革を、ここまで美しく処理するには高度な技術が必要となる。

ウォレット内部と外革部分を縫い合わせれば完成となる。ウォレットサイドの縫い合わせ部分は、11〜12ミリの厚さになる。この厚みを一針で貫通させ、縫い合わせる。その肉厚感を、ぜひとも実際に見て頂きたい。

手に取る度、ジッパーを開閉する度、そして使う度にワクワクするラウンドジッパーロング。次回はいよいよオーダー受付開始となる。