品格のある、ヤンチャ。
高級素材であるナイルクロコを贅沢に3枚使い、職人が手縫いで仕立てるクロコバッグ「OG-19」。高級感とヤンチャさが楽しめる、オヤジの偏愛品。既にブラックとブラウンを発表しているが、「赤馬」「赤鹿」と赤が大好物のオガワは「レッドクロコ」にも挑戦したくなった。
これが実に難しかった。
レザーJKTの「赤馬」であれば、赤味が強いほど、強烈なヤンチャさが魅力になる。だが「レッドクロコ」ではそうはいかない。真っ赤にすれば、高級感と品格が損なわれる。安易に茶色の要素を加えれば、平凡な赤茶になる。理想のレッドクロコを目指し、染色テストを繰り返した。
上の写真。左端は最初に染めたクロコ。鮮やか過ぎる発色、透明感と奥行きがない単調な表情。写真からもわかる通り、クロコダイルの醍醐味である腑がまったく際立たない。
中央は二度目の染色テスト。だいぶオガワのイメージに近付いたが、少々上品過ぎる。レッドクロコの「19」を手にするのは、我が道を貫く骨太なブラザーたちだ。上品さも必要ではあるが、圧倒的な強さと存在感こそ最優先すべきと考えている。
その後、染色職人と意見交換を重ね、最終的に写真右端の「赤」に辿り着いた。ムラ感のある深い赤、理想の赤。クロコダイルの腑が際立つ透明感も素晴らしい。高級感と品格、そして圧倒的ヤンチャさという相反する要素が共存する、唯一無二のレッドクロコだ。
文章で書くと数行、3枚のクロコダイルも1枚の写真に収まるが、この理想のレッドクロコに辿り着くまで、実に半年近くを要している
失敗が許されない、裁断。
色の確定後、サンプル製作に必要な3枚をオーダーし、待つこと1か月。理想の赤に染め上げられた極上のナイルクロコが到着した。早速、生産ファクトリーである長野県千曲市のグルーバーレザーに向かい、位置決め、裁断を行った。

「OG-19」の印象を大きく左右する胴の裁断は、決して失敗が許されない工程だ。枠を重ねて慎重に位置を決め、抜き型で裁断する。たったこれだけの作業だが、何度経験しても慣れない、いや慣れてはいけない最重要工程である。


寸法を測り、数値を基準に裁断すればいい……という単純なものではない。人間の感覚は実に繊細で、数値はあくまで目安であり、実際に目で見た感覚を頼りに裁断を行う必要がある。
わかりやすく言えば、クロコ腹部の中心線がバックの中心線より僅かにズレていた方が、視覚的にベストな場合もある。実に難しい。


バッグの胴の裁断後、その他のパーツの位置決め&裁断も行う。幅30センチに満たない小さなバッグではあるが、上写真の通り、実に多くのパーツが必要となる。用意した3枚のクロコのうち、1枚の腹部を除いてほぼ使い切ることになる。残った腹部はウォレットもしくは他のプロダクトに使用する予定だ。
パーツも「赤」に合わせた特別仕様。
レッドクロコに合わせて、ジッパー、ライニング、縫製糸なども新たに用意した。
ジッパーテープは、従来の「OG-19」や「OG–6」に使用している茶褐色からブラックに変更。手縫いの糸もブラックにすることで、「赤×黒」の引き締まった雰囲気に仕上げている。


ライニング(裏地)は数種類の生地を取り寄せて検証。ブラックはホコリが目立つという理由で不採用。従来モデルで使っている生地よりも、赤味が強いダークブラウンを採用することにした。ディテール紹介でも説明するが、バッグ内部のパイピングテープもブラックに変更。表面に負けない、力強い内装を目指した。
すべての準備が整った。グルーバーレザーの徳永代表、原山氏に組み立てを任せ、横浜の自宅に戻った。
