想定外の事態が起こった。
ダイヤキルト部の製作に立ち会ったオガワ。残りの工程をファクトリーに任せ、横浜の自宅に戻った。
数日後、グルーバーレザーの徳永代表から「OG-6 Ver.Cha-Uma」のファーストサンプルが完成し、発送したとのLINEが入る。同時にサンプルの写真も送られてきた。それが上の写真である。
強烈な自画自賛。恥ずかしげもなく言わせて頂くが、なんとカッコいいバッグだろうか。
事前に革の端切れでテストして選び出した各所のステッチカラーも、このバッグが放つ渋い雰囲気に一役買っている。
オガワのテンションは最高潮に達した。ファクトリーがある長野からオガワが住む横浜、宅急便は翌日届くが、こんなに待ち遠しい気持ちは久し振りだ。
待ちに待った荷物が到着した。早まる気持ちを抑え、段ボールを開封。ついに姿を現した「茶馬の6」。ヤバいよ、これ。あまりのカッコ良さにiPhoneで写真を撮りまくる。
こいつを叩き台に追い込んでいくため、現状は60%程度の完成度。だが、それでも嬉しいものだ。コーヒー片手にバッグを眺めながら、暫しファーストサンプル完成の余韻に浸る。
だが……。だがである。想定外の事態が起こった。
さらにヤンチャになった……。
写真では色味や質感、雰囲気が上手く伝わらないと思うが、現物の「茶馬の6」を手にすると、これがまた実にヤンチャなのだ。
ムラ感とシボ感、透き通るようなブラウンと立体的なダイヤキルト。加えて、ゴールドのジッパーや金具。すべてがオガワの脳外で勝手に絡み合い、抜群にヤンチャなバッグが誕生したのだ。正直、オガワの大好物である。
あくまで個人的な感覚だが、ブラックの「OG-6」よりもヤンチャ。久し振りに鳥肌がたった。
オガワの満足度、200パーセント。
その一方で、ブラックの「OG-6」が「ガラが悪い」と購入許可が下りなかった奥様を納得させるために「もう少しカジュアルなOG-6を作って欲しい」とリクエストしてくれたブラザーたちへの複雑な気持ちも込み上げる。
ブラザーへの申し訳なさ、200パーセント。
ブラウンの馬革とゴールドのジッパー&金具のマッチングが、これほどヤンチャ度をアップさせるとは……。まさに想定外の事態。
だが、子供っぽさや下品さは微塵もなく、アダルトな雰囲気を放つ「大人のバッグ」であることは言うまでもない。オンオフ問わず、どんな所に連れて行っても恥ずかしくないプロダクトに仕上がったと自負している。
先のリクエストを寄せてくれたブラザーは、ぜひあの手この手を駆使して奥様を説得し、「OG-6 Ver.Cha-Uma」を迎えて頂けたら幸いである。