技の継承者。

「OG-6」Leather Bag

新たな「OG-6」に相応しい男たち。

「Daytona BROS」の編集長を務めた11年間、2か月に一度は長野を訪れ、フラットヘッドの取材を行っていた。そして毎度のように、ストックバーグのファクトリーで撮影を行った。

中心にはフラットヘッドの創業者である小林昌良氏、そして、二人の職人が脇を固めた。徳永直考氏と原山純一氏だ。長年ストックバーグに在籍し、マサさんからレザークラフトの技術を直接叩き込まれた愛弟子。当時のストックバーグを仕切る存在でもあった。

オガワが「Original Garment Brothers」を立ち上げるまで、長年愛用してきたフラットヘッドのレザーウォレットは、どれも彼らが仕立ててくれたものだ。

2017年に独立し「GROOVER LEATHER」(グルーバーレザー)を設立。現在は長野県千曲市稲荷山にファクトリー兼ショールームを構え、オリジナル商品の製作&販売、OEM生産、そしてワークショップなど幅広い活動を行っている。

技、知識、経験、そしてストーリー。新たな「OG-6」にもっとも適した男たちであることは明らかだったが、彼らのSNSからは多忙な日常が窺い知れた。

根が神経質なオガワのモノ作りは、職人の立場からすれば非常に面倒だろう。気になる箇所があれば、何度でもサンプルをリクエストする。革質、縫製、仕上げ、クオリティコントロールは厳しい。無知であるがゆえ、無理難題を平気で突き付ける。

オガワのモノ作りに付き合ってくれる時間的余裕、共にベストを目指してくれる気持ちがあるか。「OG-6」を手掛けることで、他の業務に影響が出ないか。その辺りが気になり、声を掛けられずにいた。

すべての歯車が動き出した。

今年3月、徳永氏が「OG-6」に興味を持ってくれていると人づてに連絡が届いた。「O.G.BROS.WEB」の記事で、フラットヘッドで「OG-6」を作れなくなったことを知ったという。

数日後には長野に向かい、徳永氏と久し振りに再会した。彼がストックバーグを離れてから約5年、一度も会っていなかったが、当時と何ら変わらぬ雰囲気で語り合うことができた。革に対する情熱、技に対する探究心。あの頃よりも貪欲な姿勢も伝わってきた。

彼しかいない。

その日のうちに、新たな「OG-6」の製作を依頼することを決めた。仲間との再会が、新たなプロダクトをカタチにする。なんとエキサイティングなことだろうか。

「OG-6」を超える「OG-6」の実現に向けて、すべての歯車が一気に動き出した。

このページで掲載している写真は、サンプル製作時にマサさんが遊びに立ち寄ってくれた際に撮影したものだ。かつては共にモノ作りに切磋琢磨し、時にはぶつかり合い、今は独立して自分の城を構えた愛弟子。その活躍を温かく見守るマサさん。兄貴はいつまでも、兄貴なのだ。