新たなスタッズベルトを作る。

「OG-25」「OG-26」Bucle & studs Belt

気が付けば、一番の相棒だった。

15年近く、オガワの腰元にはいつもこのベルトがあった。バッグやウォレット、レザーJKTにデニムパンツ……、どんな愛用品よりも長い時間を共にした相棒。

2010年、当時編集長を務めていた「Daytona BROS」の別冊ムック、レザークラフトに特化した媒体の誌面企画で自作した1本だ。レザークラフト専門店で材料と工具を揃え、実際に作ってみる。そのプロセスを記事にまとめた。

パソコンでスタッズの配置デザインを作成。ブライドルレザーのベルトに穴を開けて、スタッズを差し込み、足をペンチで曲げていく。バックルは数百円の既製品。見栄えの良くない素人の手作りベルトだが、約15年、一度も壊れることなくベルトとしての役割を果たしてくれた。この先5年10年、まだまだ問題なく使えるであろう、タフなベルトだ。

2018年に出版社を退職し、「Original Garment Brothers」を立ち上げた。それから今日に至るまで、レザーJKTやバッグ、ウォレット、デニムパンツやシルバーアクセサリーなど、本当に自分が欲しいと思うモノだけを作ってきた。

人間……いやオガワという生き物は実に欲深い。それまで十分満足していた自作ベルトだが、より今の自分の所有欲を満たしてくれる、新たなスタッズベルトが欲しくなった。

思い立ったら即行動。長野県千曲市に工房を構える、グルーバーレザーの徳永代表に電話を掛け、企画趣旨を説明。ベルトに使う、屈強な革を手配してもらった。

締めて仕上げた、栃木ブラック。

自作ベルトにはブライドルレザーを使ったが、オリジナルのスタッズベルトには栃木レザーを使うことにした。

主にベルト用とされる屈強な素材、繊維をギュッと締めて仕上げた特別な栃木レザー。スタッズを打ち込むと少し柔軟になるが、革本体はiPhone Proが載せられるほどコシが強い。

染色にもこだわった。茶色の染料で下地を染め、その後、黒の染料で丘染め。最後にラッカーを薄く塗り、色止めをしている。真っ黒ではなく、僅かに茶色味を帯びたノスタルジックなブラック。使い込んで表面が擦れると、下地の茶色がじわじわと現れる。タフさだけでなく、極上のエイジングも楽しめる栃木レザーである。

だから、人生は面白い。

かつて編集部のデスクで自作した時のように、自宅仕事部屋のパソコンでスタッズの配置デザインを作成する。

当初はデザインを刷新しようと思っていたが、約15年愛用した自作ベルトに対する愛着も深い。「まずは自分用に」と自作ベルトのデザインを踏襲した1本を製作することにした。最終的には、そのデザインをそのままリリースすることになるのだが……。

ベルト中央に配置する文字を「D-BROS」から「O.G.BROS.」に変更。その他の配列、スタッズの大きさ(径)や種類はまったく同じ。

2010年にスタッズベルトを自作した時は、後に「Original Garment Brothers」を立ち上げ、「D-BROS」から個人事業主の屋号である「O.G.BROS.」に変更したベルトを作り、賛同してくれる特定少数のブラザーの元へ届けることになるとは、夢にも思わなかった。

人生は本当に何が起こるかわからない。だから、面白いのである。