細部に宿る、匠の技。
熟練職人の卓越した縫製技術によって完成した「OG-10」。一見すると何気なく縫っているように見えるが、要所ごとに定規で確認しながら、ミリ単位で縫い上げている。
岡山児島から生まれるデニムパンツが、世界中の愛好家を魅了して止まない理由が、ここにある。
今回は、完成したばかりの「OG-10」のディテールを解説させて頂く。
「OG-10」において、もっともシンプルで、もっとも頭を悩ませたディテール、それが手が放り込めるフロントポケットだった。
チノやスラックスのように、ポケットを立てれば手が入れやすいが、座った時にポケット口が浮いてしまう。寝かせ過ぎると、手が入れづらくなる。
さらに、デニム生地は必ず伸びる。最初からポケット口にゆとりを持たせると、穿き込んでいるうちにダルダルになってしまう。
最終的に導き出したベストが、上写真のポケットだ。
この写真を見てもらえば、ポケット角度の変遷がよくわかる。左から、ファースト、セカンド、サードサンプル(最終形)だ。サードサンプルで少し角度を戻したが、ポケット口が浮かないことが確認できた。
万が一、ポケット口が開いても目立たないようにスレーキはブラック仕様にした。このディテールのために、白いヘリンボーンを黒く染めた。
「OG-10」のバックポケットは、デニムJKT「OG-4」や冬用JKT「OG-7」に採用するスクエアポケットを継承。
バックポケット口は隠しリベットで補強している。
バックポケットの内部全面に、スレーキと同じブラックヘリンボーンを貼り合わせ、耐久性をアップさせている。
山羊革パッチは経年変化を楽しむためにシンプルデザインを貫く。「Lot」「W」に加え、穿き込み開始年度を示す「Y」をスタンプする。
金型から新規で製作した「ORIGINAL GARMENT BROS.」の刻印入りドーナツボタン。
「壊れにくい」という理由からボタンフライを採用するデニムパンツも多いが、オガワの過去30年近くの経験でジッパーが壊れたことは一度もない。ならば、開閉がラクなジッパーフライがいい。
スムーズな動きと耐久性に定評がある、ユニバーサル社製ジッパーを採用する。
幼少の頃、ベルト下部からズボンのウエストがヨレヨレにハミ出ている大人を見て、子供心に「だらしない」と思っていた。なので、一般的なジーパンよりベルトループを2本増やし、フィット感を高めている。
ベルトループは「中高」と呼ばれる中央が盛り上がった形状。穿き込むと中央部分が擦れ、独特な色落ちを楽しめる。
デニムJKT「OG-4」と同じ、14.5オンスのセルビッチデニムを採用する。旧式力織機で織り上げた風合いのあるデニムで、程良いザラ感と適度なコシがありつつ、非常にしなやか。ゴワついたデニムが苦手なオヤジ世代にも自信を持ってオススメできる。
メリハリのある色落ちに定評があるデニムだが、愛情を注いで穿いていれば、どんなデニム、どんな色落ちでもカッコいいと思っている。オガワがあまり色落ちに関するハナシをしない理由は、そこにある。
以上が「OG-10」の基本ディテールとなる。いよいよ次回、オーダーを開始させて頂く。