革のプロ集団「Y’2 LEATHER」。

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アメカジ雑誌の編集長として、実に様々なレザーブランドを取材させて頂いた。どのブランドのレザージャケットも独自のこだわりが満載で、優劣付け難い品質を誇る。世界を見回しても、これほど高品質なレザージャケットが豊富に揃う国は日本以外にはないだろう。

オガワが編集長を務めていた「Daytona BROS」は2007年に創刊した。その初期から公私共に親しくさせてもらっているブランドのひとつに「Y’2 LEATHER」(ワイツーレザー)がある。創業は1998年、今年20周年を迎えた老舗ブランドだが、代表の梁本奎澤氏はブランド設立以前から40年余り革業界に身を置いてきた革の生き字引的存在。豊富な経験と人脈を元に、息子の貴雄氏、裁断師の山田氏を筆頭とした卓越した職人たちと、真面目で丁寧なモノ作りを貫く。

長い革業界での経験から、すべての革は問屋を通さずタンナーと直接取引きを行う。馬革専門タンナー、水染め専門タンナーなど、それぞれのプロフェッショナルとタッグを組むことで、大半の革素材はワイツーレザーオリジナルとして誕生する。

梁本親子との付き合いは10年近くになる。オガワは親父さんが口癖のように言う言葉が忘れられない。

「モノづくりは正直でなければ絶対にダメだよ」

革の良し悪しというものは、使い込んで初めてわかる部分もある。革のプロがユーザーを欺こうと思えば、いくらでも欺けるはずだ。生産効率や売り上げを第一に考えれば、ユーザーの見えない部分で手を抜くこともできるだろう。適当な理由にこじ付けて高額な値札を付けることもできるだろう。だが、それはワイツーレザーの流儀に反する。

見えない部分も手を抜かず、職人の手作りによる温かみを感じるプロダクト。1年や2年ではなく、10年20年と着込むことができるプロダクト。年々高まるレザー愛好家からの人気、一流アメカジブランドのOEMを手掛けている実績が、ワイツーレザーの真摯なモノ作りを証明している。

オガワが理想とするレザージャケットは、ワイツーレザーの存在なくして実現はできない。ワイツーレザーが手掛けたレザージャケットを実際に愛用しているが、デザインやシルエット、革の質感、経年変化、耐久性、縫製、満足感。すべての要素を高次元で満たしてくれる一流のプロダクトであることは、自分自身が知っている。あとはオガワの理想に近づけるための味付けを少々加えるだけだ。

断っておくが、オガワが理想とする一着は、万人が理想とする一着ではない。共感してくれる人はごく少数かも知れない。リスクもある。非難を受けるかも知れない。それでも理想の一着を追い求めたい。

その気持ちを正面から受け止め、共に挑戦してくれることになったワイツーレザーには感謝しかない。