タンナーでクロコを選ぶ。

「OG-19」Crocodile Bag

革のスペシャリスト「メルセン」。

7月中旬、長野県飯田市のタンナー「株式会社メルセン」を訪ねた。千曲市のグルーバーレザーから徳永氏の運転で2時間弱。たまには助手席に乗ってドライブも悪くない。隣は男ではあるが……。

メルセンは鞣しから染色、加工に至るまで、高度な技術を有する皮革製造メーカー。インテリア用皮革、車両用皮革、エキゾチックレザー、難燃革など様々な皮革を扱っており、オフィシャルHPを見ているだけで楽しい。

染色技術にも定評があり、「OG-19」で使用しているクロコダイルの染色&仕上げをお願いしている。今回は特別に、鞣しが完了した染色前のクロコダイルの選別を行わせて頂いた。その数、70枚ほど。

腹幅と傷の状態をチェック。

クロコダイルのサイズと傷の状態で分類していく。腹幅が小さ過ぎるとバッグの胴部分に使えず、大き過ぎると見た目のバランスが悪くなる。膨大なクロコダイル一枚一枚に型紙を置いてサイズを確認していくのだが、これが実に難しい。

鞣しが完了したクロコダイルは、その後、染色&仕上げを行うことによって、腹幅で2センチほど伸びるという。それを見越してサイズを見極めなくてはいけないのだ。

傷の有無や状態も慎重にチェックする。天然素材である以上、少なからず傷は存在する。それが味わいとなる小さな傷、染色後に目立たなくなる傷なのか、「OG-19」のイメージを著しく損ねる傷なのか。オガワの直感、職人徳永氏の経験、ふたりの意見をもとに見極めていく。

腹部に目立つ傷がある個体は、ジッパー両サイドやマチ、ハンドルのパーツ確保用として使用する。だが、腹部だけでなく全体に傷が散見される個体、サイズが小さ過ぎて胴以外のパーツ確保も困難な個体は除外する。

数よりも品質を追求したい。

メルセンがストックしていた合計70枚ほどのクロコダイルをすべてチェックし、約60枚を「OG-19」用に確保させて頂いた。

高級素材である希少なクロコダイルを、一度にこれほど目にできる機会は本当に貴重だ。オガワのワガママを聞いてくれたメルセンの方々には本当に感謝しかない。

約60枚と聞くと非常に多く感じるが、ひとつの「OG-19」に使用するクロコダイルは2.5枚。残り0.5枚は腹部で使わずに終わる。つまり、3枚のクロコダイルが必要となる。となると、約60枚のクロコダイルで製作できる「OG-19」は約20個。

だが、昨年製作したブラックの「OG-19」の時もそうだったが、見逃していた傷、仕立て時のトラブルなどで数枚はロスとなる。そう考えると、今回製作できる上限は18個ほどになるだろう。

18個が多いのか、少ないのかわからない。確実に言えることは、製作個数を追い求めるよりも、一つひとつの品質を追求したい。

世界的高級ブランドが販売する、手縫いの超有名バッグがある。笑われるだろうが、オガワは本気でそれを超えるバッグを作りたいのだ。