「OG-17B」ディテール解説。

「OG-17」Wabash Pants

自画自賛だが、抜群にいい。

トリプルステッチをすべてグレーの糸に変更し、再度製作したサンプルが届いた。シルエットやディテール、サイズ感は「OG-17」とまったく同じなので、不具合や微調整が必要な箇所はない。

素晴らしく完成度が高い、ブラックのウォバッシュパンツが完成した。品番は「OG-17B」。もちろん「B」は「BLACK」を意味する。

インディゴデニムとブラックデニム。同じウォバッシュパンツでもベースが異なると雰囲気も大きく変わる。ここでは「OG-17B」のディテールを紹介する。

股上は、普通〜少し深め程度に設定している。お腹に脂肪が乗ったオガワにとって、浅過ぎる股上はどうにも落ち着かない。とは言え、深過ぎる股上もイケてない。メタボなオヤジでもストレスを感じない股上を目指した。

オリジナル刻印入りのドーナツボタン。使い込むとブラックの塗装が剥げ、下地の真鍮色が現れる。

フロントはユニバーサルジッパー。昔から「ボタンフライは壊れない」と言われ続けているが、オガワの経験上「ジッパーも壊れない」。ならば、ボタンより数十倍ラクなジッパーを採用するのは当然のこと。かつてボタンフライのジーパンを穿いていたこともあるが、ボタンの恩恵を受けたのはコンマ1秒が天国と地獄を分けるトイレ直行便の時だけだった。

フロント&バックのポケット口は、オリジナル刻印入りのブラックリベットで補強している。突起がないので、愛車のシートやソファに傷を付けることがない。冬場、悴んだ手がリベットに擦れても痛くない。

2020年に発表したデニムパンツ「OG-10」のレポートで詳しく解説しているが、ポケットの角度には徹底的にこだわり抜いた。無造作に手を突っ込めること。そして、座った時にポケット口が浮かないこと。このふたつの条件をクリアするために、当時、何度もサンプルを作り直し、ようやく「ポケットの黄金角度」に辿り着いた。また、オガワはフロントポケットに「iPhone」を入れるので、しっかりと収まる深さも確保している。

一般的なジーンズの場合、椅子に座っている時、モノを取り出そうとした時、フロントポケット内部の白いスレーキがチラリと見えてしまう瞬間がある。あれが好きではない。そのため、オガワが企画するすべてのパンツには、目立たないブラックのスレーキを採用している。生地は汚れが目立たないヘリンボーンがベストだが、流通する既製生地がなかったので、白いヘリンボーン生地を独自にブラックに染めて使っている。

子供の頃、背中側のウエスト上端がベルトの下に出てしまっている大人を見ると、生意気にも「だらしないなぁ」「カッコ悪いなぁ」と思っていた。50歳を超えた今、世の子供たちに「カッコ悪いオヤジ」のレッテルを貼られないよう、一般的なジーンズよりも背中側のベルトループを2本多く設定し、ウエストをしっかりとホールドしている。

前回のレポートでもお伝えした通り、トリプルステッチの糸色を「赤・グレー・赤」から「すべてグレー」に変更したため、脱Tバックに成功。落ち着いた、渋い仕上がりとなった。

写真ではわかりにくいが、中央が盛り上がった「中高」のベルトループ。ステッチが干渉せず、糸切れしにくいと言われている。盛り上がり部分が擦れやすいため、独特の色落ちが楽しめるディテールでもある。

革のエイジングを存分に楽しめるよう、シンプルを貫いたオリジナルの山羊革パッチ。一般的な革パッチには「品番」「ウエスト」「レングス」が押印されるが、ダイナミックに裾上げを行うオガワにレングス表記は無用。それよりも「入手した年」「穿き始めた年」が一目でわかる「年=Y」の方が役に立つ。写真のサンプルは2024年に製作したので「24」が押印されているが、ブラザーにお届けする個体には「25」が押印されることになる。

ウォレットを収納することが多いバックポケットは、もっともダメージを受けやすい箇所。そのため、フロントポケットのスレーキと同じ黒染めしたヘリンボーンで、ポケット内側全面を補強している。

パンツ本体とドットストライプを合わせたバックポケット。ヨーク部分は柄合わせを行わず、ランダムに配置している。

タテ糸、ヨコ糸、共にブラックの糸で織り上げているので、写真の通り生地裏面もブラック。濃淡のある顕著な色落ちではなく、ブラックを存分に楽しめる緩やかな色落ちが特徴。オガワも若かりし頃はメリハリが効いた迫力の色落ちを目指し、楽しんでいたが、歳を重ねるほどに濃色のまま穿いていたいと思うようになった。

以上が「OG-17B」を構成する各ディテールだ。いよいよ次回はオーダー開始となる。