完成度を高める、ひと手間。

「OG-17」Wabash Pants

最高の状態で届けたい。

ウォバッシュ生地は抜染時に水洗いと乾燥を行っているため、既に縮んだ状態で裁断、縫製を行なっている。そのため、縫い上がってからワンウォッシュを施す必要は特にない。

だが、今回はさらにワンウォッシュを加える。

洗いと乾燥を施すことで生地には風合いが増し、縫製部分も馴染む。このウォバッシュパンツは、オガワの理想を具現化した自信作だ。最高の状態でブラザーにお届けしたい。その一心で「ひと手間」を加えることにした。

アパレルナンバから車で20分ほど、洗い加工専門工場に縫い上がったばかりの「OG-17」を持ち込む。洗濯槽で水洗いし、剥き出しの脱水機で豪快に水を飛ばす。そして、巨大な乾燥機で乾かす。

待つこと数十分。乾燥機から取り出された「OG-17」の表面は波打ち、見違えるほど表情が豊かに仕上がっていた。

職人たちに心より感謝。

再びアパレルナンバに戻り、最後の工程、オリジナルの山羊革(ゴート)パッチを縫い付ける。

ヴィンテージのレプリカジーンズでは、ワンウォッシュ前に革パッチを縫い付けることが多い。帯上端を縫い進める際、革バッチをグルリと一周して縫い付ける「ひと筆縫い」が有名だ。

革パッチが縫い付けられた状態でワンウォッシュを行うと、乾燥による高温で革が硬化し、縮むこともある。マニアにとっては堪らないディテールなのだろうが、オガワはヴィンテージジーンズに興味がない。

むしろ、革パッチの硬化や縮むリスクを完全に消し去りたい。そのためには、ワンウォッシュ後に革パッチを縫い付けるしかない。

縫い場から洗い場、そして縫い場に戻って革パッチの取り付け。ファクトリーの作業効率は格段に悪くなる。オガワのワガママに付き合ってくれる職人たちには、本当に感謝しかない。

これからも、自分が魅力を感じるヴィンテージのディテールは積極的に取り入れるが、嫌いなディテールは潔く省く。それが「Original Garment Brothers」のモノ作りなのだ。

遂にウォバッシュパンツ「OG-17」が完成した。念のため再度寸法を測る。前述の通り、抜染時の洗いと乾燥で生地は既に縮んでいるので、ワンウォッシュ後の寸法に変化はなかった。

サンプルが完成した日の夜は、いつも難波社長と宴。メタボに磨きを掛けながら、次なるプロダクトの話、他愛もない話で盛り上がる。その時間が最高に楽しく、宝物でもあるのだ。