「OG-4」を生む、匠の技。(前編)

「OG-4」Denim JKT(End)

再び、児島に向かっていた。

セカンドサンプルをアパレルナンバにお願いしたものの、やはり自分の目で確認したい。職人がミシンを巧みに操り、パーツを縫い合わせ、一着のデニムJKTが姿を現す瞬間をこの目で見届けたい。

ちょうど別プロジェクトで大阪への出張が決まっていた4月初旬。ならば、足を伸ばして岡山児島まで行こうじゃないか。さっそく難波社長に電話を入れたところ、快諾。しかも、1日で完成までの工程を撮影できるように準備してくれるとのこと。本当に感謝しかない。

大阪での仕事を終えた翌朝、新大阪駅から新幹線で岡山駅へ。岡山駅で特急に乗り換えれば約20分で児島駅に着く。かれこれ10年以上、何十回と児島に足を運んだが、交通手段はほとんど飛行機。新幹線を利用した場合は、岡山駅でレンタカーを借りていた。児島駅まで電車で行ったのは意外にも初体験だ。

電車を降りると潮の香り。ホームから見える瀬戸内海。電車の旅もなかなか素晴らしい。

児島駅まで難波社長が迎えに来てくれた。さっそくアパレルナンバへ向かい、セカンドサンプルの縫製作業を始めてもらう。

縫製工程を追う。

1日で縫い上げ、ワンウォッシュまで完了させるために、裁断は事前に行って頂いた。

作業台に置かれた「OG-4」のパーツ。素人目には多く思えるが、胸ポケットやウエストベルトが無いため、パーツ点数は少ないとのこと。

前立てやフロントプリーツの折り返しは、パーツの段階で綺麗にプレスされていた。

ポケットの縁を定規で測りながら折り返し、アイロンでプレスする。ミリ単位で正確に作業を進める。

前身頃にポケットを縫い付ける。ダブルステッチの間隔も緻密に決められている。驚くほど早いスピードでミシンを走らせる。

ヨークの縫い合わせは巻き縫いミシンを使う。その名の通り、生地を巻き込みながら縫い合わせていく。巻き縫いミシンによる縫製は、アパレルナンバの難波会長に行って頂いた。

前立ての折り返し、デニムのセルビッチを使った部分を縫い進める。

ポケットの付いた前身頃と後身頃が、ヨークで縫い合わされた状態。

襟の縫製。表はコーデュロイ、裏はデニム。共に芯材を貼り、裏返した状態で縫い合わせ、縫製後に返す。

襟をボディに縫い付ける。コーデュロイは畝(うね)を「縦」「横」どちらでも使えるが、オガワは「縦」が好み。

身頃に袖を縫い付ける。袖は2枚のパーツで構成されるが、この時点では筒状にはなっていない。着用時、袖の外側にくるステッチ部分を巻き縫いしてあるだけ。

前後の身頃(ボディサイド)を巻き縫いミシンで繋ぎ合わせる。さらに、そのまま一気に脇を通過し、袖の先まで縫い合わせる。これで、ようやく袖が筒状になる。

筒状になった袖にカフスを縫い付ける。

デニムJKTの裾に帯付け。1枚の長いパーツが、ラッパと呼ばれるパーツを通ることで帯状に折り返され、身頃に縫い付けられていく。

足早に説明してきたが、これでデニムJKTの縫製は完了。未完だが、この状態でもクールだ。この後、ボタン&リベットを打ち、ボタンホールを開ければ、完成となる。

続きは後編にて。