新たな「LEATHER JKT PROJECT」始動。

Leather JKT 2019(End)

すべては「OG-1」から始まった。

2018年9月、「Original Garment Brothers」初のオリジナルプロダクトとして発表した「OG-1」。私がイメージする理想の革ジャン。一切の無駄を排し、必要最低限のディテールのみで構成した、まさに「研ぎ澄まされた日本刀」のような一着。

革好きが卒倒するほどのエイジングを追い求めた。小さなタンナーで頑固一徹の職人が手塩に掛けて仕込む、フルベジタブルタンニン鞣しの馬革。表面に一切の後処理を行わず、革の持つ「傷」「血筋」「トラ目」を一切隠すことをしない素上げ。

極め付けは、前身頃と袖に、馬革のシボの多い部分を配し、着込むほどに強烈な皺感が現れる一着を目指した。

お陰様で「OG-1」は多くのレザーラヴァーに支持され、想定を超えるオーダーを頂戴する結果となった。

ひとりの鞣し職人が持つ秘伝のレシピに委ねられる、大量生産とは程遠い馬革。さらに、シボを意図的に取り込む特殊な裁断。これら、効率を無視した手の込んだ仕立てにより、納期は翌年の2月という長丁場。それでも、多くのブラザーたちにオーダーして頂いた。

オーダー締め切り後も、購入を望む声を多数頂戴したが、馬革の調達枚数の理由から、泣く泣くお断りしたことは今でも申し訳なく思っている。

あれから約1年が経った。「Original Garment Brothers」として、モノ作りを生業のひとつとして日々エキサイティングな時間を送れているのは、紛れもなく「OG-1」を手にしてくれたブラザーの存在があったからだ。この感謝の気持ちは、この先、5年、10年と消えることはない。

あらためて「OG-1」を見る。

この「O.G.BROS.WEB」のトップ画面やインスタで、幾度となく紹介しているオガワ愛用の「OG-1」。自分でも惚れ惚れする風合いに育っている。

オガワのサンプルだけが特別だったわけではない。元々、シボが多い個体ではあったが、仕立てた当初は、タンニンをたっぷりと含んだ上質な馬革ゆえ、ゴムのような半端ないコシ感。着心地もゴワゴワ。いわゆる「新しい革ジャン」の着心地、そのものだった。

徹底的に着込んだ。大袈裟ではなく、朝から晩まで。平日をスーツで過ごし、週末に袖を通す一般のアメカジ愛好家と比べれば、軽く2〜3倍。つまり、2〜3年の着用時間をワンシーズンで着用した。それくらいの自負がある。

徹底的に揉んだ。着るか揉むか。オガワにとって革ジャンへの愛情表現は、アナログだが、このふたつ。揉み過ぎで、毎日、手の平と指がパンパンに腫れ上がる。着用時は常に腕組みを繰り返し、革に動きを与えていた。前腕部の内側は、皺のラインに沿って内出血が現れる。

昨年「OG-1」が完成し、私の自宅に届いた日に撮影した写真が残っていたので掲載する。今の姿からは想像できないほど初々しい。

馬革に秘められたポテンシャル。

「OG-1」をオーダーしてくれたブラザーの元に「OG-1」が届いたのは、今年の2〜3月だ。時期的、時間的に、まだまだ「着込む」と呼ぶには程遠いだろう。もしかしたら、ゴムのように弾けるコシ感の強さに、戸惑っているかもしれない。

写真でもおわかり頂けたと思うが。私のサンプルも最初がゴワゴワ、パンパンだ。それが、いまはこうだ。

心配は無用。皺が多い個体、少ない個体、天然素材ゆえの差はあるが、どんな個体でも着ることを諦めなければ、極上のエイジングが手に入る。

後処理による「シワ加工」でもなければ、顔料を吹き付けた「厚化粧」でもない。

時間を掛けてタンニンをたっぷりと含ませ、素上げで仕上げた唯一無二の馬革だけが魅せる、奥深いエイジング。オガワが惚れ込んだこの馬革のポテンシャルは、計り知れない。

「OG-1」を超える一着を作る。

ようやく本題に入る。今年もまた、私が理想とする革ジャンを作る。絶対王者にして絶対定番の「OG-1」を超える一着を作る。

わかっている。順位や優劣が、まったく意味を持たないことを。「OG-1」か、「新たなる革ジャン」か。比較する行為が、愚の極み。どちらも、最高の馬革、最高の職人、最高の技、そして、最高の楽しみと共に作り上げたプロダクト。永久に優劣が付くことはない。

だが、心意気は常に、過去を超えていかなければいけない。突っ走らなければいけない。

「OG-1」を超える一着を作る。