理想の馬革を作る。

「OG-2」「OG-5」Leather JKT

常識に縛られない、唯一無二の馬革。

今季のレザーJKTも「OG-1」と同様、日本を代表するレザーファクトリー「Y’2 LEATHER」(ワイツーレザー)と共に作り上げる。

私はアメカジ雑誌の編集長時代、色々なブランドと関わってきたが、ワイツーレザーほど真摯に、そして正直にモノ作りに向き合うファクトリーも珍しい。今や国内だけでなく海外からもオファーが殺到する名門ファクトリーだが、決しておごることなく、常に品質第一主義を貫く。

公私ともにお世話になっている梁本社長を筆頭に、現場を取り仕切る息子の貴雄氏、裁断師の山田氏。オガワのモノづくりには欠かせない一流の職人たちだ。

ワイツーレザーについては「OG-1」のレポートでも詳しく紹介しているので、ぜひご覧頂きたい。

革のプロ集団「Y’2 LEATHER」

今季のプロジェクトは4月に始まった。革はどうするか。スタイルはどうするか。大阪のワイツーレザー本社を訪れ、オガワの思いのままを伝えた。

革の厚みを確実に揃えたい。

革のプロを前に、無礼な要望だったかもしれない。「OG-1」で採用したフルベジタブルタンニン鞣しの馬革。小さなタンナーで誕生する馬革は、梁本親子、そして山田氏も認める品質の高さだ。

頑固一徹、熟練の職人は、長年の経験で培ってきた秘伝のレシピで馬革を鞣し、リクエストした革厚に追い込む。

だが、昔ながらの鞣し製法は、原皮の状態、気候、気温、湿度によって仕上がりは左右される。設定した厚みに、確実に揃えるのは困難だ。半裁の馬革1枚でも、場所によって厚みが異なることは珍しくない。

今季はそこに挑戦する。誤差を無くし、確実に厚みを揃える。理想の一着には、厚みが揃った馬革がどうしても必要なのだ。

革を「割る」という隠し玉。

どうすれば、革の厚みを確実に揃えることができるのか。梁本氏に尋ねた。今まで通り、馬革を鞣し、乾燥させ、仕上げるという方法だけでは不可能。どんなに追い込んでも、微妙な誤差は発生すると言う。

それでも厚みを均一に揃えるには……仕上がった馬革を「割る」しかない。「革を割る」とは「革全体を漉く」ということだ。仕上がった半裁の馬革を、今度は「割り職人」の元へ送り、半裁状態で「割る」。

その後、均一に厚みが揃った馬革を裁断して、パーツを切り出す。この方法であれば、確実に厚みが揃ったレザーJKTを仕立てられる。

レディス衣料では「割り」を行うことは珍しくないが、アメリカンカジュアルの衣料においては、ほとんど行われない。

「分厚さ」「不均一」が美徳とされやすい業界において、なかなか受け入れられない「工程」であることは想像に難くない。

だが、割る。そこには、私が抱き続けた「不安」が存在する。

革厚の誤差にこだわる理由。

学生の頃、リアルマッコイズの「A-2」でレザーJKTに夢中になり、以降、フライトやライダースなど、実に数十着のレザーJKTに袖を通してきた。

30年近くなる「レザーJKT」人生の中で、新しいジャケットを手に入れる度に、一喜一憂していたポイントがある。「皺」と「厚み」だ。

「皺」が大好きだ。だが、あまりに無表情で、どれだけ揉んでも皺が浮いてこない革質にがっかりした苦い記憶も多い。前身頃と袖に優先的に「皺」をレイアウトすることは、「あの頃の不安」を克服することでもあるのだ。

次に「厚み」。左右の袖、左右の身頃。革厚の誤差は意外と気になる。ひとたび気になり始めたら地獄。何度も左右の袖の革をつまんでは、悲しい気分に己を追い込んでいく。

そんな革厚の誤差による「あの頃の不安」を払拭したい。これが、私が革厚を揃えたい、唯一の理由だ。

邪道と言われるかもしれない。それがどうした。では聞くが、正道、王道とはなにか。

「Original Garment Brothers」のモノ作りにおける正道、それはブラザーがプロダクトに満足すること。それに尽きる。そのために「不安要素」を消していく。よって、今季の馬革は「割る」。

厚みは黄金厚の1.3ミリ。

迷った。何ミリ厚に設定するか。ライトな着心地の1.2ミリか。質感を楽しむ1.3ミリか。わずか0.1ミリの差が、印象を大きく変える。

実際にそれぞれの厚みに馬革を漉き、手触りや質感、様々な検証を行った。

結論、1.3ミリ厚。オガワがレザーJKTに求める、現時点での黄金厚。重厚感を感じつつ、分厚過ぎない快適な着心地。今季の馬革は1.3ミリでいく。1.2ミリも気になるが、それは今後の楽しみにとっておこう。

茶芯を深みのある「濃い茶」に。

一時期の「茶芯ブーム」もひと段落した感があるが、着込むことでブラウンが顔を覗かせる茶芯は、やはりカッコいい。

だが、茶芯であればすべて良しではない。1年やそこらで表面が剥げ、ブラウンが現れる茶芯は好みではない。茶芯が現れるということは、表面が擦れるということ。そんなに早く表面が剥げては、耐久性に不安が残る。

黒と茶のコントラストが激し過ぎる、主張し過ぎる茶芯も苦手だ。若い頃なら好んで手にしたと思うが、45歳になると落ち着いた渋い茶芯がツボ。

そこで、今季の茶芯は前回よりも「濃い茶」にする。しっかりと芯のみ「濃い茶」に染める。簡単には現れない。数年後に出会える密かな楽しみ。それでいい。

馬革の仕様は決まった。

■フルベジタブルタンニン鞣しの素上げ。
■半裁の馬革に「割り」の一手間を加える。
■厚みは確実に1.3ミリに揃える。
■茶芯の色味は渋い「濃い茶」。

上記の仕様をタンナーの職人に伝え、サンプルの馬革を鞣す。期待に胸が膨らむ。

それにしても、馬革の話になると延々と語ってしまう。写真要素もないのに……。