ファーストサンプル、完成。

「OG-3」Leather Wallet(End)

匠の技に驚愕。

イメージ図をマニフォールド宮本代表に送ってから1〜2か月後。待望のファーストサンプルが完成したとの連絡が入る。翌日、横浜の自宅に到着。ダンボールを開け、ウォレットを取り出した瞬間、無意識に喜びの声が上がる。

名古屋のファクトリーで数分の打ち合わせ、オガワの下手な手書きのイメージ図。それを元に、新規で型紙を起こし、イメージ通りのウォレットを仕上げる宮本代表の技に、驚きと敬意の念を抱かずにはいられない。

予め断っておくが、ファーストサンプルに使われている黒革は、実際に「OG-1」で使う茶芯の馬革ではない。ウォレットのサンプル用に確保できた「OG-1」の馬革は30センチ四方の端材1枚のみ。つまりウォレット1個分。ファーストサンプルに修正が発生しない自信があれば本番の馬革を使ってもいいが、何分、オガワが気ままに描いたイメージ図がベースだ。実際の使用テストで不具合が発覚する可能性は高い。本番の馬革はセカンドサンプル用に確保し、ファーストサンプルは汎用の黒革で仕立ててもらった。

エッジを見ながら酒が飲める。

言われなければ誰もが見逃すディテール。30センチも離れてしまえば、コバを磨いて仕上げた一般的なエッジと見た目は変わらない。その微細なディテールこそ、このウォレットの存在意義。

ヘリ返しで仕上げたエッジ。主張することもなく、それでいて確かな存在感。何よりも美しい。90度に曲がるコーナーの仕上げは、眺めながら酒が飲めるほど妖艶だ。オガワがイメージした革ジャンの袖や前立て、エンジニアブーツの履き口のようなエッジが見事に再現されていた。

ロングウォレットの中央部、折り曲がり部分も非常に美しい。黒革と栃木サドルがヨレることなく見事に折り曲がる。クルマで言う「内輪差」を計算し尽くした、匠の仕事。

型紙が確定すれば、抜き型を作成して革パーツを切り出せる。しかし、最終の型紙が完成していないサンプルのため、革パーツはすべてハンドカット。にも関わらずこの仕上がり。マニフォールドの技術力の高さを再認識させられたファーストサンプルであった。

様々な環境で使用テスト。

その後、オガワ自らが実際に使用し、テストを行った。普段持ち歩くカード類はすべて収納し、小銭や領収書も無造作に放り込む。まったくもって使い勝手に問題は無い。お札も20枚は軽く収納可能。ただし、常に100万円を持ち歩くという漢にとっては、残念ながら役不足だろう。

使用テストで一番確認したかったこと。それは、微妙なタッチ。言葉で説明するのはなかなか難しい。アメカジ業界で流通しているロングウォレットは、概ね200ミリ×100ミリという大きさが多い。数ミリの差はあっても、基本的な大きさはあまり変わらない。

皆さんも経験があるだろう。ほぼ同じ大きさのウォレットでも、なぜか、使いやすいウォレット、使いにくいウォレットがあることを。収納スペースのデザインの違いではない。それは慣れ、不慣れによるものだ。どんなデザインでも1週間も使い込めば、慣れる。

使い勝手の分岐点。それは、手にした時、ジーンズに収めた時、お金を払う時、の違和感。違和感こそウォレット最大の敵。使いにくいウォレットには、必ず違和感が付きまとう。では、違和感の原因は何か。オガワは過去の経験から勝手に推測している。

「厚み」そして「触感」。

このふたつの要素を、使用テストで確認したかったのだ。前述の通り、ファーストサンプルでは汎用の黒革を使っているため「触感」に関してはセカンドサンプルで確認。「厚み」のチェックを念入りに行った。

「Original Garment Brothers」の第一弾となるレザーウォレットは、革のエイジングを最大限に楽しめ、ゴツ過ぎず気軽に使えることが絶対条件。スーツを着る会社勤めの方でも毎日使って頂けるよう、必要以上に分厚くはしたくない。

様々な環境で使ってみた。普段はグローブボックスに入れるが、あえてジーンズのバックポケットに収めたままクルマの運転もした。仕事中でも使えるように、バッグの内ポケットにも放り込んでみた。

使用テスト後の正直な感想。意外なことに、ゴツ過ぎではなく、僅かなボリューム不足を感じた。ウォレットとしては非常に完成されている。しかし、アメカジウォレットに慣れた愛好家には、ほんの少々、ボリュームが足りないかもしれない。

ノープロブレム。

僅かなボリューム不足が、表に貼った黒革によるものであることは明確だった。それゆえ心配はいらない。このファーストサンプルで使っている黒革よりも、本番で使用する「OG-1」の馬革は厚い。そして弾力と張りがある。セカンドサンプルでは、ゴツ過ぎず、それでいて適度なボリュームを持ったウォレットが姿を現すことになるだろう。間違いない。

ところが、それよりも重要なことが発覚した。オガワが引いた内部デザインに修正すべき不具合。それは次回、じっくりとレポートさせて頂こう。