「A-2」を模した織りネーム。

「OG-1」Leather JKT(End)

レザージャケットの襟元に縫い付ける織りネーム。本音を言ってしまえば、無くてもいいと思っていた。付けるとすれば、共にこの一着を作り上げてくれる「Y’2 LEATHER」の織りネーム。そう思っていた。

「襟元の織りネームは、ハンガーに掛けた時の顔だよ。付けた方がいい。オガワさんのオリジナルの織りネームをね」そう梁本の親父さんに言われた。

確かにそうかもしれない。着用寺には見えない織りネームも、ハンガーに吊るした時は誇らしげだ。革ジャンを知り尽くした親父さんの意見を素直に受け入れ、オリジナルで織りネームを製作することにした。

デザインはすぐに決まった。

ロゴもイラストも入れるつもりはない。文字だけのシンプルなデザイン。サイズは小ぶりがいい。モチーフにしたのはフライトジャケット「A-2」だ。戦闘服である「A-2」はすべてにおいて一切の無駄を排し、機能のためのディテールしか存在しない。襟元の織りネームも形式番号、入札契約番号。生産社名などが羅列されるだけだ。黒地に金文字。今まで見てきた衣料の織りネームの中で、「A-2」の織りネームが一番かっこいいと思っている。

デザインは自分の手で引いた。慣れないイラストレーターを使い、不明点はWEBや参考書で調べた。プロのデザイナーに頼めば一瞬で終わる作業だろうが、自分の手でやり遂げたい。この一着はオガワとワイツーレザー、そして職人たちとの共同作業だ。自分だけラクをするわけにはいかない。

見よう見真似で完成させたデザインを、数々のアメカジブランドの織りネームを手掛ける業者に託す。待つこと約2週間。

CUSTOM BY。

「Original Garment Brothers」はカスタムファクトリー的な位置付けだ。ワイツーレザーの卓越した技で作り上げるレザージャケットに、カスタムという名の我儘を盛り込ませて頂く。この織りネームは、その証でもある。

それにしても大量の織りネームが届いた。その数1000枚。当初は100枚も作れば十分だと思っていたが、試しに300枚、500枚、1000枚で見積もりを取ってみた。するとどうだろう。金額の差は意外と小さい。少しお金を足せば300枚作れる。もうちょっと出せば500枚、1000枚作れる。恐るべし生産ロットマジック。気が付けば喜んで1000枚をオーダーする自分がいた。

何人がこのジャケットをオーダーしてくれるかわからないが、いいところ10枚もあれば足りるのではないか。それが1000枚だ。今はこの織りネームを使って、他にどんなプロダクトが作れるか、楽しみながら模索している。