シルエットは「太く」「シンプル」に。
「手が放り込めるポケット」に加え、オガワが「OG-10」に求める絶対条件。それは、潔いワイドシルエットだ。
「Original Garment Brothers」が手掛けるプロダクトは、オガワと同じ40代はもちろん、50代、60代のオヤジ世代でも気軽に、快適に身に付けられることをテーマとしている。
15年前は57キロ、ジーパンサイズ28インチと痩せていたオガワも、今では80キロ超級。ジーパンは34インチまで行ったが、最近は現実逃避の意味も込めて、ボタンが弾け飛ぶ心配を抱えながら32インチを穿いている。
そんなオガワが「穿きたい」「着たい」「持ちたい」と思うプロダクトをカタチにするのが「Original Garment Brothers」。普通体型のブラザーはもちろん、メタボブラザーにも快適に使ってもらえなければ、作る意味がない。
かつて、日本のアメカジシーンにおいて、股上が極めて浅い、スリムシルエットが爆発的に流行ったことがある。今でも人気は衰えず、ファンは多いが、これほど自分に無縁のブームはない。
年も40を過ぎると、内臓脂肪が増えて、お腹がポッコリしてくるのは自然の成り行き。メタボ世代に突入した40代以上にとっては、股上が浅く、脚のラインにピッタリと吸い付くスリムシルエットよりも、大きなお腹を優しく包み込んでくれる深い股上と、立っても座っても血流を圧迫しない寛容なワイドシルエットに、愛しさを感じるものだ。
トップはタイト、ボトムはワイド。
ワイドシルエットにこだわる理由は、もうひとつある。
筋肉派は逆三角形ボディを理想とするが、個人的にはタイトトップにワイドボトムが大好物。特筆するまでもなく、何十年もアパレル界の定番として確立されてきたスタイルだ。
重心が低く、どっしりと構えたスタイルに、「骨太な男」を感じている。
「Original Garment Brothers」が今まで手掛けてきた各ジャケット類は、メタボボディでも楽しめる、程良いタイトシルエットを貫いている。インナーに何枚も着ることを想定せず、基本はTシャツ1枚の着用が前提だ。
それらのジャケットに、今回プロジェクトを立ち上げた「OG-10」を合わせることで、オガワが理想とするスタイルが完成するのだ。
ストンと落ちる、ドカンシルエット。
ひと口に「ワイドシルエット」と言っても様々だが、今回の「OG-10」は、太ももから裾までストンと落ちる、程良い太さのドカンタイプ。
若かりし頃に見た「ビーバップハイスクール」。ヒロシのボンタンよりも、トオルが穿く程良いドカンがお気に入りだったブラザーには、違和感なく受け入れてもらえるはずだ。
この手のシルエットは、簡単に言ってしまえばワークパンツに近い。だが、ワークパンツはトリプルステッチの採用やハンマーループなど、「らしい」装備が施されている。
ジーパンも元々は作業着として生まれたパンツなので明確な線引きは難しいが、いかに「ワーク」らしさを強調せず、「シンプルなワイドパンツ」を作るか。オガワが自身に課した課題でもある。
無意識に手に取る「1本」を目指す。
何本もデニムパンツを所有していても、結局のところ、毎日穿く1本は決まっている。無造作に置かれた相棒。何も考えずに、無意識に手が伸び、足を放り込む。そんな1本を作る。
予め断っておくが、ブランドの知名度や流行りのシルエットを求める人にはオススメできない1本だ。太めよりも細めのシルエットが好きな人にもオススメできない。無理して穿いて頂いても、無意識に手に取る「1本」にはなり得ない。
骨太なワイドシルエット、無造作に手が放り込めるフロントポケット、そしてオヤジ世代でも気軽に穿ける1本を探していた人にとってこそ、「OG-10」は最高の相棒になってくれるのだ。