楽しければ、それでいい。
2018年に発表した「OG-1」から、オガワが企画するレザーJKTには、馬革のシワやシボが多い部位を適材適所で使っている。
一般的にスムーズな革を「上質」と呼ぶ革業界において、シワやシボが多い部位は敬遠される。だが、オガワは大好物。天然のシワやシボが魅せる、あの荒々しい表情がたまらなく好きだ。だから、強度や質感に問題ないレベルのシワやシボは、積極的に使う。
初めて「OG-1」を作った時、ワイツーレザーの裁断師である山田氏に「シワとシボの多い部位を積極的に使って欲しい」とリクエストした。キズや血筋、トラ目も入れてもらって構わないと、付け足した。
素人とは恐ろしいものだ。この道何十年、常にシワやシボ、キズを極力避け、もっともジャケットが美しく仕上がるための裁断を行ってきた百戦錬磨の職人に対し、今までとは真逆の裁断をしてほしいと頼んだのだ。
無論、シワやシボを無意図に配置するのではない。特に強度が求められる背中や下袖などには、しっかりと繊維が詰まった部位を使う。
オガワの理想は、前身頃、襟、そして上袖だ。ここにシワやシボが多い部位を配置したい。賛否両論あるだろうが、オガワ自身、そして一部のブラザーが楽しめれば、それでいい。
想像の上を行く、上質な馬革。
毎年「O.G.BROS.SHOP」の販売ページには、シワやシボの入り方には個体差があることを記載してきた。
今季も例年通り、シワやシボを前身頃、襟、袖に使う予定だが、多く入る個体もあれば、ほとんど入らない個体もある。
実は、ワイツーレザーが扱う馬革は、原皮の状態がすこぶる良い。長年、革業界に携わってきた独自のネットワークもあり、一般的な品質よりも上等な馬革を扱う。それはワイツーレザーがラインナップする数々のレザーJKTを見れば一目瞭然。圧倒的に、質が高い。
こんな書き方をすると怒られるかもしれないが、想像の上を行く、上質過ぎる馬革。そのため、オガワのイメージよりもシワやシボが少ないというのが、正直な感想だ。
だが、心配は無用。今季は、タイコで揉み込む。
シワやシボが少ない個体でも、表面が小刻みに波打った、実に表情豊かな馬革に仕上がっている。革の質感、エイジングにうるさいブラザーにも、きっと満足して頂けるはずだ。もちろん、魅力的なシワやシボの部位があれば積極的に使う。
今季のレザーJKTは、たまらない一着になる。