岡山児島、屈指の職人集団。
新たなパターンも完成し、デニム生地と襟のコーデュロイ生地も揃った。再び、岡山児島へ向かった。
縫製はアパレルナンバの熟練職人たちによって行われる。技術、設備、規模、すべてにおいて児島トップクラスの縫製ファクトリー。名だたるアメカジブランド、世界的に人気を集めるストリートブランドなどの製品を手掛けていることが、その実力を物語る。
難波社長とは10年以上の付き合いだ。仕事だけでなく、プライベートでも仲良くさせて頂いてる。難波社長の協力が無ければ、新たな「OG-4」をカタチにすることはできなかったと断言できる。
さっそく「OG-4」の製作工程を紹介しよう。膨大な作業工程のごく一部ではあるが、熟練職人たちの丁寧な手仕事をご覧頂きたい。
イメージがカタチになっていく快感。
「OG-4」の象徴的ディテールであるスクエアなポケット。しっかりとアイロン掛けを行い、丁寧に縫い付けられる。
次回レポートで解説するが、今回から生地洗いを採用したことで身返し部分(前立ての裏側)にセルビッジを使っていない。セルビッジデニムを使いながら、セルビッジを使わない。ある意味、贅沢な仕様だ。
襟の内部に挟み込む芯材にもこだわる。過去にも仕様変更で芯材を厚くしたことがあるが、今回はさらに厚い芯材を用意した。襟単体の写真からもビシッとした質感が伝わってくる。
襟にはあまり使わない厚い芯材に「縫製が大変」と苦笑いする職人。それでも完璧な仕上がり、まさに職人技。
凛々しくピンと立った襟。イメージ通りのカッチリ感。好みは分かれるかもしれないが、今のオガワはタフな襟の気分。
上袖と下袖を片側で縫い合わせる。この時、まだ袖は筒状にはなっていない。
そして、アームホール部分で身頃に縫い付ける。徐々にジャケットらしくなってきたが、この状態では前後身頃は縫い合わされていない。袖もまだ筒状にはなっていない。
巻き縫いミシンで、前後身頃と上下袖を縫い合わせる。裾から脇を通り袖先まで一気に縫い上げる重要な工程は、アパレルナンバの難波会長が行ってくれる。いつもありがとうございます。
袖先にカフスを取り付ける。縫製糸はイエロー系とオレンジ系の2色を使い分けている。
裾に帯を取り付ける。帯にも芯材を挟み込むことで、形崩れを低減し、カッチリ感を際立たせる。
帯が歪まないように、仮止め(上写真)してから本縫いする。
オリジナルラベルを縫い付ける。フライトJKT「A-2」のラベルをモチーフにしたデザイン。自画自賛だが、最高に気に入っている。
オリジナル刻印入りのドーナツボタンを専用マシンで打ち付ける。フロントポケット、フロントプリーツ、袖は打ち抜きリベットで補強する。作業は一瞬、目にも止まらぬスピードだ。
ボタン&リベット取り付けは、いつも難波社長が行ってくれる。
最後にボタンホールを開ける。この工程だけは、専用マシンを所有する作業場に持ち込む。ホール外周を縫った後に、ガチャンと刃が降りて穴を開ける「後メス」。ワイルドな仕上がりになるが、先に穴を開けてから縁をかがるより耐久性が高くなる。
完成した新しい「OG-4」。捻れや歪みのない骨太な佇まい。脳内で描き続けた理想像が、カタチになって目の前に現れた。