すべてのディテールを見直す。

「OG-6」Leather Bag

リスクの向こう側にある、理想形。

フラットヘッドの基準に沿って製作された従来の「OG-6」とは異なり、新たな「OG-6」はすべてが自由になる。

それは「今この瞬間の理想形」を実現できるメリットがある反面、フラットヘッドが長年培ってきた経験に基づくディテールに頼ることができないリスクも伴う。そこで、徳永氏、原山氏に「OG-6」を託すと決めてからの約3か月は、徹底してディテールの検証に時間を費やした。

デザインやサイズは変える必要がない。

かつて「OG-6」の企画段階、夜な夜な自宅の仕事部屋でダンボールのモックアップを何個も作り、ようやく導き出した、幅、高さ、奥行。さらには、ハンドルの長さ、ジッパーの長さ、ジッパーテープの色、内ポケットの仕様や高さに至るまで、すべて熟考の末にオガワ自身が決めた仕様だ。そこに手を加える必要はまったくない。

<ダイヤキルト>

「OG-6」を象徴する意匠であるダイヤキルトは徹底的に見直すことにした。上写真のように、挟み込む芯材の種類、厚さによる無数の組み合わせをテストし、より立体的でセクシーなダイヤキルトを目指した。

結果、従来モデルよりも芯材が厚くなったため、コシ(硬さ)が増し、よりカッチリとしたバッグに仕上がるメリットも生まれた。

<縫製糸>

糸も新しく選び、ピッチも再検証した。ポリエステルフィラメントを芯に使い、その周りを綿でカバーしたコア糸。高強度と風合いを兼ね備えたミシン糸だ。とは言っても、従来モデルもコア糸を使っていたので、その微妙な違いに気付くブラザーは少ないだろう。

後の製作工程レポートでも説明するが、ダイヤキルトの縫製糸は従来モデルよりも太番手を使うことにした。より立体的でセクシーなダイヤキルトを演出してくれる。

<カシメ>

今まではフラットヘッドの刻印入りのカシメを使っていたが、新モデルでは当然使えない。そもそも、オガワはロゴやブランド名を露出することが嫌いなので、当初は無刻印のカシメを使えばいいと考えていたのだが……、これがノッペリとした表情でカッコ良くない。

瞬時に判読できなくても、表面に刻まれた小さな文字の凹凸がデザイン的に大きな影響を及ぼすことを痛感した。そこで、新規で型を起こし、オリジナル刻印入りのカシメを作ることにした。

ひとつの「OG-6」に、内ポケットも含めて13個のカシメを使う。極少量生産のプロダクトなので、使用するカシメ総数など高が知れている。だが、小規模のモノ作りを生業とする個人事業主には厳しい、ロットという壁が立ちはだかる。

結果、1万個のカシメが届いた。この先数年は「OG-6」を作り続けられる。頑張ろう。

視覚的にわかりやすいディテール変更は上記の通りだが、写真では伝わらない、目に見えない部分の変更点も多い。次回の製作工程レポートにて詳細をお伝えするので、ぜひ読んで頂きたい。