コロナ禍が生んだ、最高傑作。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発令され、運動不足解消を目的に始めた深夜のウォーキング。
ショートウォレットが苦手で、かれこれ10年以上ロングウォレットしか手にしてこなかったオガワも、ジャージやスウェットパンツのポケットに放り込める小さなウォレットが欲しいと思い始めた。そして、ひとつのプロジェクトが始まった。
ショートウォレットが苦手な自分が持ちたくなるショートウォレットを作る。
職人、亀太郎氏の工房に何度も足を運び、数多くのサンプルを作り、ようやく辿り着いた理想形。手のひらサイズのコンパクトなウォレットだが、骨太な佇まい、カッチリ感、所有欲を満たす質感と手触り。
自画自賛だが、最高傑作。
ショートウォレット「OG-9」を初めて世に問うたのは、2020年8月18日。まだ2年にも満たないが、長年の付き合いに思えるほど、オガワは溺愛している。
プロジェクト発足から完成に至る経緯は、過去のレポートにじっくりと書き連ねているので、ぜひご覧頂きたい。
レザーJKTと同じ、茶下地の馬革。
ディテール詳細は過去レポートでご確認頂くとして、「OG-9」の馬革について簡単に説明したい。
「OG-9」の馬革は、「Original Garment Brothers」のレザーJKT「OG-2」に使っている馬革、そのものだ。日本国内の小さなタンナー、頑固一徹な職人が秘伝のレシピで仕込むフルベジタブルタンニン鞣しの馬革は、表面処理を一切施さない素上げ。そのためシワやシボ、キズやトラ目や血筋など、天然の表情をダイレクトに楽しめる極上のマテリアルとなっている。
一方、染色は前回(第二期生産分)から変更している
2020年8月に初めてリリースした「OG-9」には、馬革の断面を見た時に中心層だけが茶色く染まった「茶芯」を使用した。
2021年6月の第二期生産の「OG-9」からは、レザーJKT「OG-2」の馬革変更に合わせ、「茶下地」を採用している。
「茶下地」は、表面(銀面)のみ黒く染め、それ以外(中心層から床面まで)は茶色く染められている。ブラウンの色味や表面のブラック層の厚みを細かく設定できることから、表情の変化を存分に楽しめる染色方法でもある。
今回の第三期生産分では、引き続き「茶下地」の馬革を使う。
なお「茶芯」も「茶下地」も、ひとまとめに「茶芯」と表記する場合もあるが、「Original Garment Brothers」では上記のように分類している。
使うほど美しく育つ、エッジ。
「OG-9」の特徴のひとつ、それは「ヘリ返し」のエッジだ。通常は裁断してコバを磨いて仕上げるが、「OG-9」では内側に折り返して仕上げる「ヘリ返し」のエッジを採用している。
表面が擦れ、下地のブラウンが滲み出てきたレザーJKTの袖口やブーツの履き口。あの雰囲気をウォレットで楽しみたい。そのためには、手間も時間も掛かる「ヘリ返し」は欠かせないディテールだ。
この「ヘリ返し」のエッジと「茶下地」の馬革の相性が、抜群にいい。
裁断してコバを磨いた一般的なウォレットは使うほどにコバが乱れ、繊維が毛羽立つが、「ヘリ返し」の「OG-9」は次第に下地のブラウンが現れ、使うほどに美しく育つ。
革好きには堪らない表情。このエッジで酒が飲める。
梅雨が明けたら、日光浴。
もうひとつの特徴。それはウォレット内部の栃木サドルにある。
飴色のエイジングが魅力の栃木サドルも、タンナーで仕上がったばかりの時はとにかく色が白い。そのため、軽く日光浴させて、ほんのり小麦色に日焼けさせてから使う人も多い。
二つ折りウォレットであれば日光浴も簡単だが、ラウンドジッパータイプのウォレットは内部の日光浴が困難。いつまでも色白で、汚れだけが目立っているラウンドジッパーを数多く見てきた。
そこで、ウォレットに仕立てる前に栃木サドルを日光浴させることにした。天候に左右され時間も掛かるため非効率的だが、理想のウォレット作りには欠かせない。詳細は過去レポートをご確認頂きたい。
毎回、裁断前の巨大な半裁革にニートフットオイルを塗ってから日光浴させるのだが、これがかなりの重労働。小さなボトルに入った市販のニートフットオイルを、いったい何本使うことか。
そんな状況を見兼ねた心優しき亀太郎氏が、業務用のニートフットオイルを大瓶に入れて用意してくれた。今までは小さなボトルから少しずつオイルを出して塗布していたが、これで何倍も効率良くオイルを塗ることができる。心より感謝。
梅雨が明けたら栃木サドルの日光浴を開始。美味しそうな小麦色に日焼けさせた後、製作に取り掛かる予定だ。
革の個体差について。
素上げで仕上げた馬革、染色を施してしない栃木サドルには、シワやシボ、キズ、トラ目、血筋などが多少を問わず存在する。それら天然の表情こそレザープロダクトの醍醐味であると考えている。
新品時は少々気になる個体差も、使い込み、風合いが増していくと最高のスパイスであることに気付いて頂けるだろう。
シワやシボ、キズ、トラ目、血筋など、革の個体差によるキャンセル、返品、返金、交換は一切受けられない。そのことをご理解の上、オーダーして頂きたい。
最後に、均一で無表情な革で作られたウォレットを求めている人には「OG-9」はオススメできないことも付け加えておきたい。
いつしか手放せない相棒に。
ショートウォレットが苦手な自分が持ちたくなるショートウォレット。気が付けば、苦手どころか手放せない相棒となった。
カッチリとした質感、心地良い重さ、手触り。デスクの傍に無造作に置いてあるが、無意識のうちに手に取り、愛でている自分がいる。
レストランでもコンビニでも、「OG-9」を使い、ジッパーを閉めた時の高揚感。この感覚をブラザーと共有したい。
大のオヤジがワクワクする、小さなウォレット。
コロナ禍のウォーキングがきっかけで誕生したプロダクトだが、新型コロナウイルスが収束し、当たり前の日常の中で付き合っていきたいと願わずにはいられない。
<価格>
2万7000円(税抜)
<納期>
3か月前後
裁断前に栃木サドルを日光浴させるため、梅雨明けの遅れや天候不順、災害など、また社会情勢による流通事情によって納期が遅れる場合があります。
納期が大幅に遅れる場合には、こちらよりご連絡を差し上げますので、詳細スケジュール等のお問い合わせはご遠慮頂きますようお願いいたします。また、納期の遅れが発生した場合にお待ち頂けない方はオーダーをお控えください。
「1日でも早く手にしたい」と思って頂けることは非常に嬉しいことですが、こちらからファクトリーに納期確認をする度に作業がストップしてしまうため、ご理解とご協力をお願いいたします。
ご購入は「O.G.BROS.SHOP」にて
O.G.BROS.SHOP
<当方からのメールに関して>
主に携帯キャリアメール(docomoやezwebなど)において、オーダー時の自動送信メール、その後の手動送信メールが届かない事例が確認されております。当方にてオーダー確認後、必ずメールをお送りしておりますので、オーダー手続きから2〜3日が経過してもメールが届かない場合には(shop@ogbros.jp)までご連絡ください。お手数をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします。