「OG-9」第二期オーダー、開始。(終了)

「OG-9」Short Wallet

馬革が足りなくなった。

ようやく準備が整った。昨年8月に発表、約1か月半のオーダー受付を行い、多くのブラザーに賛同して頂いたショートウォレット「OG-9」。オーダー受付終了後も多くの問い合わせが届き、注目度の高さに驚かされた。

「Original Garment Brothers」が展開するレザーウォレットは、表革にレザーJKT用の馬革を使用していることが特徴だ。前回生産分の「OG-9」も、フラッグシップモデル「OG-2」など、レザーJKTのために仕込んだ馬革の予備分を使った。

今回お届けする第二期オーダー分の「OG-9」も、レザーJKTに使用した馬革の予備分で仕立てる予定だった。だが、有難いことに2020年モデルのレザーJKTに多くのオーダーを頂いたため、ウォレットを仕立てる十分な馬革を確保することができなくなった。

残った僅かな予備の馬革を使い、限られた生産数でリリースすることもできた。オーダー数は限られるが、馬革は確実に使い切れる。ビジネスとして考えれば、効率がいいことも事実だ。

たがそれは、「本当に欲しいと思ってくれるブラザーの元に確実に届ける」というオガワの信念に反する。

完全受注生産というスタイルである以上、結果的には限定的な生産になるが、最低1か月間はオーダー受付期間を設定し、じっくりと考えて頂いた上で「欲しい」と思ってくれるすべてのブラザーに届けたい。

あくまで自分の経験によるものだが、発売前から「限定生産」と言われると、人間は時に正しい判断ができなくなる。我先に入手することに気が取られ、「手にするに値するプロダクトかどうか」という、もっとも重要なことを考慮する時間が損なわれる。

それでは「作り手」も「使い手」もハッピーにはなれない。

今後、どうしても生産数が限られてしまうプロダクトを手掛ける場合、このオガワも「限定生産」という手段を取るかもしれない。だが、職人の手作りながら、時間が掛かってもある程度の数を作れるプロダクトに関しては「限定」にはしない。

「OG-9」の過去レポート、ディテール詳細はコチラ

コイツのために、ジャケット用の馬革を仕込む。

レザーJKT用に仕込んでいた馬革が、十分に確保できなかった。でも、限定生産にはしたくない。ならば、ウォレットのためだけに、レザーJKT用の馬革を新たに仕込めないものか。

オガワが企画するレザーJKTは、すべて「Y’2 LEATHER」との共同作業で生産している。国内外からオーダーやOEM生産の依頼が殺到する、名実共に日本最高峰のレザーファクトリーだ。ワイツーレザー無くして「Original Garment Brothers」は存在しない。そう断言できるほど、オガワにとって欠かせないパートナーだ。

「ウォレット用にレザーJKT用の馬革を仕込んでもらいたい」と、社長である梁本氏に相談したところ、二つ返事で快諾してくれた。なんという懐の深さ。感謝の気持ちは、到底言葉では言い尽くせない。

2020年モデルから、レザーJKTに使う馬革は「茶芯」から「茶下地」に変更している。それについては、レザーJKTのレポートで解説しているので、そちらをご覧頂きたい。

新たに仕込んだ「OG-9」用の馬革は、レザーJKTの馬革とまったく同じものだ。日本国内の小さなタンナー、頑固一徹な職人が秘伝のレシピで仕込む、フルベジタブルタンニン鞣しの馬革。

ウォレットに仕立てた時の質感とバランスを考慮し、レザーJKTに使う時と同じように1.3ミリ均一に漉いて使う。さらに見えない部分だが、芯材を挟み込むことで、ウォレットとしてのカッチリ感と強度をより高めることにした。

レザーJKTで使う時と一点だけ異なることがある。レザーJKTでは「シワが浮きたくてウズウズしている瞬間」の馬革を再現するため、1.3ミリ均一に漉いた後に、大きなタイコで揉み込んでいる。

だが、ウォレットの場合はレザーJKTのように馬革が常に動くわけでは無い。柔らかく馴染ませる必要もない。なので、タイコで揉み込む工程は施していない。

「OG-9」のためだけに、レザーJKT用の馬革を仕込む。今回生産する「OG-9」は、実に贅沢な工程を経て、ブラザーの元へと届けられるのだ。

茶下地の馬革の表情、必見。

前述の通り、今回生産分の「OG-9」に使う馬革は「茶芯」から「茶下地」に変更されている。どちらも使い込むことで表面のブラック層が擦れ、内部のブラウン層が現れる。抜群のエイジングが楽しめる馬革だ。

そのエイジングを最大限に楽しむために、「OG-9」では「ヘリ返し」と呼ばれるエッジの仕上げを採用している。

巷のレザーウォレットの大半は、裁断した切り口を磨いて仕上げているが、「茶芯」や「茶下地」ならではの表情を楽しむには、レザーJKTの袖口やポケット口、ブーツの履き口のように折り返して仕上げる「ヘリ返し」しかない。

手間や時間は数倍掛かる。高度な技術も求められる。だが、理想とするエイジングを手に入れるには、これしかない。

上の写真は、「OG-9」と同じ「茶下地」の馬革を使ったカーコート「OG-12」の着用サンプル。モノを頻繁に出し入れしたポケット口。表面のブラック層が擦れ、下地のブラウン層が滲み出している。レザーラヴァーにはたまらない光景。この表情を楽しめるレザーウォレットこそ、「OG-9」なのだ。

納期は3か月前後。

「OG-9」の特徴のひとつに「栃木サドルの日光浴」がある。「OG-9」の内部に使っている栃木サドルは、説明するまでもなく日に焼けた飴色のエイジングが魅力だ。

二つ折りのレザーウォレットであれば、使用前に紫外線に晒し、程良い小麦色にしてから使い始めることができる。だが、ラウンドジッパータイプのウォレットでは、内部の栃木サドルを日光浴させることは困難。通常使用時にも紫外線に晒されることはなく、いつまで経っても白っぽい色のまま。気が付けば薄黒く汚れてしまう。お世辞にもカッコいいとは言えない。

そんなラウンドジッパーを数多く見てきた。

そこで「OG-9」では、裁断前の大きな半裁革の状態で、オイルを薄く塗り、日光浴をさせている。1〜2日間、じっくりと紫外線に晒し、うっすらと小麦色になった栃木サドルを裁断し、「OG-9」に仕立てている。上写真はそのビフォア&アフターだ。

昨年のリリース時にも同様の「日光浴」を施したが、思っていた以上にハードワーク。だが、この「ひと手間」も理想のウォレット作りには欠かせない。もちろん、今回生産分の「OG-9」に使う馬革も、裁断前に日光浴させる。

ひとつ問題がある。

それは、梅雨。本日(6月15日)から第二期オーダー受付開始となるが、オガワが住む横浜は昨日6月14日に梅雨入りが発表されたところだ。聞けば、ここ10年で一番遅い梅雨入りらしい。。。

雨天では栃木サドルの日光浴はできず、曇天では日焼け具合もイマイチになる。そこで、梅雨の中休み、晴れ間を狙って日光浴を行うつもりだ。

だが、確かな天候は誰にも予測できない。雨天や曇天が長く続いたりした場合は、若干、お届けまでに時間が掛かってしまうことをご了承の上、オーダーして頂けると幸いだ。

現在のところ、納期は3か月前後とさせて頂きたい。

価格は2万7000円(税抜)。

日本人は控えめな性格ゆえ、あまり「自画自賛」的な言葉を良く受け取られないことがある。だが、それはいかがなものか。自画自賛できないプロダクトをブラザーに提案することの方が、数百倍、失礼だと考える。

アメカジ好きであれば誰もが知る「ウォレットを折る」という儀式で一世を風靡した伝説のウォレットを手掛けてきた革職人、亀太郎氏が完全ハンドメイドで仕立てる「OG-9」。文句なしに最高のプロダクトだと断言できる。

オガワ自身、半年以上「OG-9」を使用しているが、使えば使うほど、亀太郎氏の卓越した技、このウォレットの凄みを体感している。

2万7000円(税抜)。決して安価ではないが、手にした瞬間の質感、使うほどに満たされる所有欲と満足感、そして手間を惜しまず仕込んだ革素材を考慮すれば、かなりリーズナブルだと思っている。

革の個体差について。

「Original Garment Brothers」のレザーJKTに使う馬革、つまり「OG-9」の馬革は、革の表情をダイレクトに楽しめるように、表面処理を施さない「素上げ」の馬革だ。そのため、天然の「傷」「皺」「血筋」「虎目」などは普通に存在する。

だが、それら天然の表情も、使い込み、風合いが増してきた頃には、最高のスパイスであることに気付いてもらえるはずだ。それこそが天然皮革の醍醐味、唯一無二のプロダクトの証。底なしの革の魅力にどっぷりとハマって頂きたい。

なお、「傷」「皺」「血筋」「虎目」など、革の状態や個体差によるキャンセル、返品、返金、交換は一切受けられない。そのことをご理解の上、オーダーして頂きたい。また、均一で無表情な革で作られたウォレットを求めている人には「OG-9」はオススメできない。

2021年生産分の「OG-9」のオーダー受付は今回限り。じっくりとご検討のうえ、相棒として迎え入れて頂ければ嬉しい限りだ。

ご購入は「O.G.BROS.SHOP」にて

O.G.BROS.SHOP

THANK YOU SOLD OUT