伝説の冒険家が選んだ相棒。
セイコーダイバーズウォッチを語るうえで欠かせない記念碑モデル、セカンドダイバー。1965年に発売されたファーストダイバーに次ぐセカンドモデルで、1968年に製造が開始されている。
セカンドダイバーには「初期型」「中期型」「後期型」が存在する。
「初期型」の品番は「6105-8000」。搭載されるムーブメントは「6105A」。
「中期〜後期型」の品番は「6105-8110」。搭載されるムーブメントは「6105B」。
上写真の左が「初期型」、右が「後期型」(中期型も同形)。
「初期型」は4時位置にリューズガードが無くシンプル。「中期〜後期型」は4時位置が盛り上がり、リューズガードの役目をしている。ケースサイズも異なり「初期型」の方が若干小さい。
知名度、人気の高さは「中期〜後期型」に軍配が上がる。
通称「植村ダイバー」。
今なお語り継がれる伝説の冒険家、植村直己氏が愛用した腕時計こそセカンドダイバー「6105-8110」。実際に使ったモデルは「後期型」だったと言われている。
ロレックスと交換したセカンドダイバー。
植村直己氏がセカンドダイバーを入手したエピソードは、あまりにも有名だ。北極点単独犬ゾリ行の際、止まってしまったロレックスのエクスプローラー2を、取材で訪れた記者のセカンドダイバーと交換。その後の行程で、セカンドダイバーは止まることなく動き続けた。
こんなエピソードに男は弱い。若い頃から植村直己氏を敬愛していたオガワにとって、セカンドダイバーは「いつか手に入れたい1本」だった。
エピソードを聞くと、エクスプローラー2の信頼度が低いように聞こえるが、そうではない。植村氏は凍傷を恐れてブレスレットから革ベルトに交換していた。しかし、犬ゾリの振動で切れ、腰に下げていたため、体温が伝わらずにオイルが固まったとみられている。当の記者が補給基地に戻り暖気に触れると、エクスプローラー2は再び動き始めたという。
余談だが、1979年公開の映画「地獄の黙示録」でマーティン・シーン演じるウィラード大尉がセカンドダイバーを着けていたことも有名。セカンドダイバーは並外れたタフさから、ベトナム戦争時、アメリカ軍兵士の間で人気が高かったとも言われている。
3本のセカンドダイバーから、2本を組み上げる。
国内コレクターから入手したセカンドダイバーは3本。前所有者も「植村ダイバー」にこだわったのか、3本とも「後期型」だ。
状態の良い個体を2本選出し、1本は部品取り個体とする。既に1本は組み上がり、恐縮ながら、オガワが愛用させて頂いている。
残りのもう1本は仮組み状態。購入者が決まり次第、オーバーホールを行い、日差30秒以内に精度を追い込む。
適材適所でリプロダクトを使用。
オーバーホール時にパーツ交換が必要となる可能性もあるが、現時点では上写真のように仕上がる予定だ。写真では見づらいが、文字盤や針に経年による若干の劣化が見られる。
セカンドダイバーは日本のみならず、海外での人気も非常に高い。そのため、リプロダクトパーツも数多く出回っていて、正直申し上げると、外装パーツに関してはオリジナルか否かの判断は非常に難しい。
今回販売する個体では、「文字盤」「ベゼルディスク」「風防」がリプロダクト品と思われる。
セカンドダイバーの針は2種類ほど確認されていて、多くのモデルは夜光部分が広い針が使われている。一方、この個体は夜光部分が狭い針。過去の資料やWEBで調べても、同様の針を装着したセカンドダイバーを確認できるので、ご安心頂きたい。
メーカーのオフィシャル資料が無いため、上記を含め、断言はできないが、非常に状態の良い、綺麗なセカンドダイバーが組み上がることは間違いない。
ベース個体は1976年製。
ベースとして採用する個体は、シリアルが「65」から始まる6桁。1976年製と推測される。裏蓋にはシリアルナンバーの他、「6105-8110」の品番も確認できる。
ムーブメント「6105B」の状態は良好。販売するセカンドダイバーはオーバーホールが未実施のため、上のムーブメント写真はオガワの個体を撮影している。
金属の質感がたまらない。
独特な左右非対称ケースのセカンドダイバー後期型。製造されて40年以上が経過したステンレスケースが放つ鈍い輝きが渋い。適度な小キズによる燻し銀の輝きはアンティークの醍醐味だ。
この質感を楽しんで頂きたいので、オーバーホール時のケース研磨は最小限にとどめ、適度な小キズは残す仕上げをする予定だ。ケース径は約44ミリと大型だが、意外と薄く、軽い。腕に装着すると驚くほどフィットする。
販売するのは時計本体のみ(バネ棒装着済)。人気モデルだけに、ラバーベルトの復刻品も比較的簡単に入手可能だ。
オガワのインスタ(@hi.ogawa)でも紹介したが、「NATOストラップ」がこれほど似合うモデルも珍しい。安価なので各色揃えて、楽しんでほしい。
これまた余談。
「007 ゴールドフィンガー」において、ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが、ロレックスのサブマリーナにブラック&グレーの「NATOストラップ」を合わせている。これがあまりにも、かっこ良すぎる。セカンドダイバーでも真似をしたいところだ。
復刻モデルの発売で、価格高騰は必至。
セイコーは以前より、過去の歴史的モデルを精力的に復刻してきた。復刻モデルが販売されると即完売、そしてプレミア価格での取引き。同時に、復刻のベースとなったアンティークモデルの価格も高騰するという方程式が出来上がっている。
そして、2019年。セイコーは世界限定2500本で、このセカンドダイバーを復刻することを発表した。発売予定時期は7月。予価は45万円(税抜)とかなり高額。当然プレミアが付き、恐ろしい価格で取引されることは間違いない。
アンティークのセカンドダイバーの相場にも影響することは必至だ。
「少し手元で寝かして高騰したら販売しようか」と一瞬、オガワの頭をよぎったことも確かだ。でも、止めておこう。
「アメカジは好きだが、アンティークウォッチには興味がない」という人は意外と多い。だが、エイジングや所有欲を楽しむ趣味性の高いアメカジは、アンティークウォッチと共通する部分も多々あると思っている。
だからこそ、アンティークウォッチという趣味世界を提案するために「Original Garment Brothers」で腕時計を扱うことにしたのだ。初志貫徹。ということで……
販売価格は12万円(税抜)。
徹底的にオーバーホールを行い、精度も出ているセカンドダイバーのプライスとしては、かなりリーズナブルだと自信を持って言える。
ボテっとしたヴィンテージ然としたデザイン、鈍いステンレスの輝き、質感、植村直己氏の愛用モデル、地獄の黙示録……溢れんばかりの数々の魅力を、わかって頂きたい、強引にでも伝えたい。とにかく個人的思い入れが強い1本。
取り扱いに関する注意事項、保証内容、納期などは「O.G.BROS.SHOP」の販売ページに記載しているので、熟読のうえ、ぜひご検討頂きたい。
ご購入は「O.G.BROS.SHOP」にて。
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