往年の名機を彷彿させる「黒ウマ」。
ブラウンの文字盤が与えられた「茶ウマ」と人気を二分するのが、ブラック文字盤の「黒ウマ」だ。
引き締まった精悍な顔つきの「黒ウマ」は、どんなアメカジスタイルにも違和感なくマッチする。マッチはするが、溶け込みはしない。近年に製造された腕時計と違い、デザイン性、色、経年変化、すべてを備えた70年代のアンティークウォッチは、存在感の塊のようなプロダクトだ。個性溢れるアメカジスタイルに合わせても、埋もれることなく、強烈な自己主張を貫く。
落ち着いたブルーの四角いインダイヤル、視認性の高いオレンジ色のクロノグラフ秒針、タキメーターベゼルを備えたレーシーな佇まい。ケース形状こそ異なるが、1970年公開の映画「栄光のル・マン」で、スティーブ・マックイーンが腕に巻いた「ホイヤー・モナコ」を彷彿とさせるデザインが、男心を強烈に揺さぶる。
無骨なケースは、もはや装備品。
基本的な仕様は「茶ウマ」と同じ。輸出モデルとして生産された約43ミリ径の大型ケースは、視認性を高めるために手前(6時位置)に傾斜している。ケースの厚さは約15ミリ。ステンレスの塊のような1本は、タフな男を演出する最高のプロダクトになる。
製造されて40年以上が経過した写真の個体。ケースに付いた無数の小傷、そして鈍い輝きは、百戦錬磨の証だ。時を刻む装備品として、いったいどのような40余年を過ごしてきたのだろうか。そして、この「黒ウマ」を購入してくれた人の元に辿り着く奇跡。これぞアンティークの醍醐味である。
「実用性」と「ビジュアル」こそ、すべて。
個体を詳しく見ていこう。裏蓋に刻印されたシリアルナンバーから、この個体は1976年9月に製造されたと推測できる。文字盤のコンディションはすこぶる良好。カレンダーは英語と日本語の二か国語の表記だ。
同年代に製造された「黒ウマ」の画像を見ると、インダイヤルの針(2本)は大半が白い。この個体は黒針が装着されていることから、「茶ウマ」用の黒針に交換されている可能性がある。個人的には、白針よりもクールな黒針の方が間違いなくこの時計にマッチしていると思っている。大歓迎である。
入手しやすいプライスの国産アンティークウォッチは、オリジナルにこだわるだけが楽しみ方ではない。劣化の激しい部品を無理して使用し、実用性やビジュアルを損なうのであれば、適材適所でパーツ交換が施された快適な1本のほうがいい。
「Original Garment Brothers」で扱うアンティークウォッチには、そんなポリシーがある。
当時のメーカー修理の現場とは。
パーツがオリジナルとは異なる場合でも、すべてがリプロダクト、つまり社外品に交換されているわけではない。
例えば、1970年代のセイコーアンティーク。ネットで特定のモデルを検索して比較すると、ディテールに微妙な差異を発見することは珍しくない。見れば見るほど、オリジナルの定義は迷宮入り。詳細な公式資料もほとんど残ってはいない。
各個体の微妙な差異は、概ねオーバーホール時(修理含む)に発生する。機械式ムーブメントである以上、数年に一度のオーバーホールは欠かせない。オーバーホールを行わなければ、オイル切れでムーブメントは止まってしまう。
腕時計に与えられた使命は、常にベストなコンディションで時を刻み続けることだ。そのため、正規メーカーによるオーバーホールでも、代替え品を使った補修は頻繁に行われていたと言われている。
1970年代当時、数十年後のアンティークブームにおける価値を意識して、オリジナルに徹底的にこだわって修理していたとは考えにくい。価格の低いモデルであればなおさらのことだろう。
詳細な修理明細が残っていない限り、交換されたパーツが、メーカー代替部品なのか、リプロダクト(社外品)なのか、その判別は難しい。何を持ってオリジナルとするか、その境界線も曖昧。大雑把な言い方で申し訳ないが、「わからない」というのが正直なところなのだ。
よって「実用性」と「ビジュアル」を楽しむ。アメカジ的というか、アメ車的というか……そんな感覚で楽しんで頂きたい。
2本から1本の「黒ウマ」を作る。
国産アンティーク時計の難点は、修理パーツの入手が極めて困難なことだ。そこで、1本の販売用「黒ウマ」を組み上げるために、2本の「黒ウマ」(上写真)を用意した。
「ケース」「文字盤」「針」そして「ムーブメント」の状態が良かった1本をベース個体。もう1本は部品取り用にする。非常に贅沢な1本になるが、品質の高いアンティークウォッチをお届けするためには、この方法がベストだと考えている。
ブレスレットはジャンク品扱い。
販売する「黒ウマ」は「本体のみ」(バネ棒は装着済み)となる。購入後に好みの「ベルト&ブレス」を入手し、装着して楽しんでほしい。
今回「Original Garment Brothers」で販売する国産アンティーク時計の数々は、国内コレクターから譲り受けたコレクションだ。そのコレクションには、セイコーのステンレスブレスが数多く(上写真)含まれていたが、残念ながらイケていない。
国産腕時計は昔から、ブレスレットの意匠、質感、重厚感に乏しいと酷評されてきた。こればかりは、どうしようもない。
それでも「ブレスも付けて欲しい」という購入者には、上記写真の中から希望のブレスをサービス品として一緒にお届けする。希望する場合は「O.G.BROS.SHOP」での購入手続き時、「備考欄」に第一希望から第三希望まで記入してもらえればオーケーだ。
<記入例>
■ブレス第一希望:(例)左から2番目
■ブレス第二希望:(例)左から4番目
■ブレス第三希望:(例)一番右端
ブレスによっては取り付け幅が合わずに装着不可の場合もある。ブレスの長さもコンディションも様々。他の購入者がすでに希望しているかもしれない。よって、ジャンク品のサービス提供品とさせてもらう。
ブレス単体に関する問い合わせには、お答えできないのでご理解頂きたい。
ブレス&ベルト選びも楽しい。
「黒ウマ」のブレス取り付け幅は20ミリ。一般的なサイズなので、ステンレスブレスもレザーベルトも選択の幅は広い。純正ブレスのレプリカも某オークションサイトなどで頻繁に見掛ける。
個人的には数千円で入手可能なナイロン素材のNATOベルト、もしくはブラックのシンプルなレザーベルトを合わせて楽しみたい。
参考までに、オガワが愛用するセイコー・セカンドダイバーにはブラックのNATOベルトを装着。最近、ダブルアールエル(RRL)のカーキ色のストラップを入手したので、気分に応じて交換して楽しもうと思っている。
そんなブレス&ベルト選びも、国産アンティーク時計ならではの楽しみなのだ。
販売価格は8万円(税抜)。
某オークションサイトやフリマアプリなどでは、様々な価格で取引されている「黒ウマ」。この8万円(税抜)というプライスは、2本から1本を組み上げ、徹底的にオーバーホールを行うコンディションを考慮すれば、非常に自信があるプライスだ。
オガワが絶大な信頼を寄せる横浜の職人の手により、精度は日差約30秒以内に追い込む。1970年代の国産アンティーク時計で、この精度はかなり優秀。世界で1本、1個体しか存在しない「黒ウマ」は、アナタのアメカジライフを、よりエキサイティングにしてくれると信じている。
取り扱いに関する注意事項、保証内容、納期などは「O.G.BROS.SHOP」の販売ページに記載しているので、熟読のうえ、ぜひご検討頂きたい。
ご購入は「O.G.BROS.SHOP」にて。
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