SEIKO SPEED TIMER(UFO)

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70年代を代表するセイコーの名作クロノ。

1970年代のセイコーアンティークのクロノグラフにおいて、前出の「茶ウマ」「黒ウマ」と並び傑作と呼ばれるモデルが、こちらの「6138_0011」。縦にレイアウトされた二つ目のインダイアルは、上が12時間計、下が30分計。サークルの大きさが上下で異なる、極めて異色なクロノグラフでもある。

ケース径は大型の約44ミリ。丸みを帯びた、ぼてっとしたスレンテスケース。その見た目から付けられた愛称は「UFO」。クールでありながら、どことなく愛嬌もある。溺愛するには十分すぎるほどのモデルだ。

どうでもいいことだが、70年代後半に活躍したピンクレディのヒット曲「UFO」は1977年発表。セイコーの「UFO」は70年代前半にはすでに発売されていたので、こちらの「UFO」の方が先輩となる。本当にどうでもいい話だ。

文字盤デザインが微妙に異なる2本。

「UFO」も他のモデルと同様に複数の個体を用意。状態の良いパーツを使い、実用性の高い1本を作る。コレクターから仕入れた「UFO」は上写真の2本だ。

一見するとまったく同じに見えるが、よく見ると、6時位置の30分計のデザインが異なる。

写真左の個体は30分計の「10」「20」「30」がオレンジ色に塗られている。一方、右側の個体は、さらに外周部分もカラフルにオレンジ色でデコレートされている。

資料本やWEBで調べると、圧倒的に左個体のデザインが多い。しかし、右側の個体に装着されている文字盤もしっかりと存在は確認できる。

また、デイデイト表示部分(カレンダー窓)の枠の「有り」「無し」も存在するが、これまた両仕様とも確認できる。国産アンティーク時計における、同一モデルのバリエーションの多さには、あらためて驚かされる。

上写真の2個体の文字盤は、経過年相応の劣化が見られ、オリジナルと推測されるが、「絶対」と断言できる確証があるわけでもない。これもまた、「茶ウマ」「黒ウマ」のページで何度も説明してきた通りである。

ベースモデルは購入者が選ぶ。

熟練職人が分解し、2本の「UFO」の状態を確認した。どちらもコンディションは良好。そこで、購入者が2個体の文字盤から好みの文字盤をチョイスできることにした。選んで頂いた個体をベースとして使い、万が一、ムーブメントに劣化パーツが発見され場合は、もう1本の予備個体からパーツを移植する。

生産から40年以上が経過しているため、個体差による各パーツの相性を考慮しなければいけない。そのため、「文字盤」「針」「ケース」「裏蓋」は、購入者が選んだ個体のものを使うことにする。ベゼルは、状態の良い方を装着する。

アンティークウォッチでは、同一ムーブメント用の針でも、個体が変わると微妙にフィットしないケースがある。自分の愛車と同じ型のクルマでも、運転すると違和感を感じることがある。それと同じだ。

それぞれの製造年を見てみよう。

「茶ウマ」のページで説明したが、あらためてリアルナンバーの読み方を説明する。セイコーアンティークの場合、シリアルの一番最初(左)の数字が「製造年の下1桁」、二番目の数字が「製造月」、残り4桁の数字が「製造番号」と言われている。

左の個体のシリアルナンバーは「16」から始まる6桁。
1971年6月製造。
右の個体のシリアルナンバーは「57」から始まる6桁。
1975年6月製造。

それぞれの製造年月は上記のように推測される。

「黒」と「赤」のクールな相棒。

このモデルには「UFO」とは別に、もうひとつの愛称がある。「ビッグダブルクロノ」。曲線で構成された約44ミリ径の大型ケースの縦二つ目のクロノグラフ。

男心をくすぐるのは、ブラックにレッドラインが入ったクールなベゼル。いつの時代も「黒」「赤」のマッチングは男のダンディズム。強い男の象徴でもある。そして、インダイヤルに配されたオレンジドット。

着込まれたライダースジャケットの袖から顔を覗かせる「UFO」を想像しただけで心は踊る。夏場、シンプルなTシャツコーデに「UFO」を合わせれば、タフな男を演出できる。

熱烈な「UFO」ファンの間では、ビジネスシーンのスーツとの相性も良いと評判だ。舶来高級腕時計では嫌味になりがちな営業職の人からも、安価でありながら個性を主張できる国産アンティークの人気は高い。

ベルトはジャンク品扱い。

すでに「茶ウマ」「黒ウマ」のページでも説明した通り、あくまでオガワ個人の見解ではあるが、国産アンティークのブレスレットのデザイン、質感があまり好みではない。写真ではなかなか伝わらないかもしれないが、非常に華奢なのだ。

よって、この「UFO」でもブレスレットはジャンク品として、希望する場合にのみサービスとして付属させて頂く。希望する場合は「O.G.BROS.SHOP」での購入手続き時、「備考欄」に第一希望から第三希望まで記入してもらえればオーケーだ。

<記入例>
■ブレス第一希望:(例)左から3番目
■ブレス第二希望:(例)左から5番目
■ブレス第三希望:(例)一番右端
(左端のブレスは取付部の形状が異なるため装着不可。左から2本目のブレスは予約済み。それ以外からお選びください。ただし、ブレスレットの状態によっては取付不可の場合もあります)

ブレスによっては取り付け幅が合わずに装着不可の場合もある。ブレスの長さもコンディションも様々。他の購入者がすでに希望しているかもしれない。よって、ジャンク品のサービス提供品とさせて頂く。
(ブレス単体に関する問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください)

オガワがブレスを付けるなら……。

「UFO」を見た瞬間、オガワならステンレスのメッシュブレスを装着したいと思った。もし、この「UFO」が売れずに残った場合は、間違いなくメッシュブレスを装着して個人で楽しむだろう。

ブラックレザーに赤いステッチの入った革ベルトもたまらない。現時点ではオガワの私物ではなく、販売商品である。にも関わらず、装着するブレスやベルトを考えているだけで楽しくなる。

ベルトの取付幅は19mm。数多くのブレスやレザーベルトが市販されているので、選択の幅は広い。

販売価格は7万円(税抜)。

某有名時計専門店のアフターサービス部門に在籍し、独立後は有名アンティークショップのリペアを担当する凄腕職人。オガワの友人でもある彼の手によって徹底的にオーバーホールを施す「UFO」は、7万円(税抜)にて販売。精度は日差30秒以内(使用状況によって異なる場合もあり)に追い込む。

某オークションサイトやフリマアプリなどを見て頂ければ分かる通り、日差も分単位、ノーメンテの現状販売の個体が多い中、オーバーホール済み、実用的な精度でこのプライスは非常にお買い得だと思っている。

その他、取り扱いに関する注意事項、保証内容、納期などは「O.G.BROS.SHOP」の販売ページに記載しているので、熟読のうえ、ぜひご検討頂きたい。

ご購入は「O.G.BROS.SHOP」にて。

O.G.BROS.SHOP