「SUPER WEEKEND 2018」を終えて。

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9月8〜9日の土日、長野県のエムウェーブにて「SUPER WEEKEND 2018」が開催された。このイベントはフラットヘッドの小林昌良代表が、「かっこいい洋服を作っても、遊びに行く場所がなければ意味がない」という理由からスタートした、今年で13回目を迎えた一大イベント。長野五輪でスピードスケートの会場となった広大なエムウェーブを独断で借り、会社に戻ってから「イベントをやるから」と幹部やスタッフを唖然とさせた話は有名だ。

オガワは2006年の第一回目から、SWに参加させてもらっている。当時「Daytona BROS」はまだ創刊されてなく、「Daytona」の副編集長を務めていたオガワに課せられた任務はカー&バイクショーの出展車両集め。色々と走り回った記憶がある。

第一回以降、昨年まで12回連続で「Daytona&Daytona BROS」ブースを構えていたが、今年は当然ながらブースはなく、ひとりのファンとして参加させて頂いた。若干の寂しさはあったが、その分、ゆっくりと会場を見て回ることができた。そんなイベントの様子を、オガワなりに報告する。

8日(土曜日)は朝から生憎の雨。11時頃にゆっくりと会場入りしたオガワの正直な感想は、人が少ない。先日の台風21号による影響でザ・リアルマッコイズが急遽参加できなかったり、カーショーに参加できないクルマがあったりと、悪条件が重なったことが影響しているのは明らかだ。土曜日に参加した人たちのSNSでも、「人が少ない」とコメントする人が多かった

「SUPER WEEKEND」の実力はこんなもんじゃない。

翌9日(日曜日)。前日、深夜まで飲み歩いていたため朝起きれず、昼12時頃に会場入り。今年はブースを構えていないにも関わらず、ホテルからエムウェーブに向かう道中、来場客の入りが気になって仕方がない。

その不安は会場に入った瞬間に無用だったと気付く。明らかに人が多い。前日は設置されたベンチにも空席が目立ったが、日曜日は席を確保できない。イベントはこうでなくてはいけない。

ステージ前も大変なことになっていた。

武田真治氏とDJ DRAGONによる「BLACK JAXX」、よゐこ濱口優氏率いるヴィジュアル系(エア)バンド「禿夢」、「重盛さと美」音楽ユニット「LLS」など、豪華出演者によりステージに近付けないほどの大盛況。今年は、会場中央ではなくメインゲートを入って左側にステージを配置。記念すべき第一回目と同じレイアウトのおかげで、ステージの音量が買い物や飲食を妨げることもなかった。

ここからはオガワの個人的な意見となる。

長野という場所で、13年間に渡って「SUPER WEEKEND」を続けてきたこと。それは驚愕に値する。エイ出版社のライトニングやクラブハーレーが主導して開催している「稲妻フェスティバル」と並び、日本を代表するアメカジ関連イベントであることは誰もが認めるところだ。

だが、率直な感想としては「買い物」「ステージ」「カーショー」を目的として訪れる人々がリンクしていない感がある。「買い物」「ステージ」「カーショー」すべてに「アメリカンカジュアル」という軸があり、それらがリンクすることで1日楽しめるイベントになる。ひとりのアメカジファンとしては、そう思ってしまう。

来場者の自由と言ってしまえばそこまで。幅広い層に楽しんでもらえるイベントを目指すと言ってしまえばそこまで。だが、買い物が済んだら帰ってしまう、ステージが終わったら帰ってしまう、では少々寂しい。何よりも、冒頭でも話した通り、「かっこいい洋服を作っても、遊びに行く場所がなければ意味がない」という趣旨で始まったイベントだ。願わくばもう少し、アメカジ道を貫く人々が集まる、暑苦しいイベントでもいいのではないか。

開催時期にもよるが、着込んで味が出まくりの革ジャンを着ている連中がウヨウヨしていて、通り過ぎる来場客の革ジャン、ジーンズ、ブーツを見ているだけで、ベンチに座って何時間も過ごせるような。

オガワがイベントを開催するなら秋か冬。「革ジャンで来たら入場料タダね」「穿き込んだジーンズとブーツも忘れないでね」「でもエイジングしてなかったらカネ取るからね」と偉そうに言ってしまいそうだ。それだけで一冊、本ができる。

オガワはすでにハーレーを手放してしまったので参加することはないが、参加者の大小に関わらずハーレーミーティングに独特の世界観があるのは「ハーレー」というブレない軸があるからだ。「音楽フェス」の熱狂的信者が多いのは「音楽」というブレない軸があるからだ。

今年も盛り上がっていたことは確かだが、年々、出展者、来場者、そしてアメカジ色が少なくなっている印象を持っている人は多いと思う。それをこの場で否定はしない。オガワ自身もそう思っている部分もある。だが……

心配は無用のようだ。

長年、公私に渡りお世話になり、オガワの兄貴的存在でもあるフラットヘッドの小林代表。主催者でもあるマサさんと会場で話をする時間があった。マサさんはすでに現状を把握し、新しいスタイルへの構想を持っている。それを聞いて「やっぱりすげぇなこの人」と思ったことも事実だ。

「東京でもやってみては?」というオガワの軽率な愚問に対して、きっぱりと「いや、長野は外せないですよ」と笑う。何もないゼロから、ここまでのイベントを作り上げた男の決心と行動力。その男が語るイベントの未来形。我々、アメカジ好きとしては今から来年が楽しみでならない。

オガワは「SUPER WEEKEND」が大好きだ。

色々と好き放題書かせてもらったが、やはりこのイベントは特別だ。ここに来れば、馴染みのメーカーやショップの面々、「Daytona BROS」時代の読者との再会がある。休刊して半年以上経ち、ブースも構えていないオガワに話し掛けてくれた多くの読者たち。それが何よりも嬉しかった。

「買う」「見る」「食べる」だけでなく「出会う」喜びも提供してくれる「SUPER WEEKEND」。来場者の皆さん、出展者、カーショー参加者、出演者、スタッフの皆さん、そしてマサさん。お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。