岡山児島での打ち合わせから約1か月。「ファーストサンプルが完成したので送りますね」難波社長から待望の電話。数日後「OG-4」がカタチになって手元に届く。
理想のデニムJKT、姿を現す。
オガワの手書きの仕様書と打ち合わせで、ここまでのプロダクトに仕上げてくるアパレルナンバの技術の高さに脱帽。この状態でも問題なく商品になりうる品質だが、「Original Garment Brothers」としては、まだまだ追い込まなくてはいけない。
ファーストサンプルのディテールを検証。
ワンウォッシュされて手元に届いた14.5オンスデニム。期待通りのしなやかさだ。両身頃の前立て裏に生地の耳、つまりセルビッチを使うのはお約束。
心配していた襟のコーデュロイ。デニム生地とコーデュロイの縮率は異なる。ワンウォッシュによって歪みが生じてしまう恐れがあったが、ご覧の通り、問題は無さそうだ。高温の乾燥機に入れてもダメージが無いことも確認できた。
襟元には「Original Garment Brothers」の織りネーム。レザーJKT「OG-1」に縫い付けたものと同じだ。ワンウォッシュによりデニムが縮むことで、ラベルに皺が寄っている。ウォッシュ後に縫い付けることも可能だが、雰囲気が良いのでこれで良し。
ファーストサンプルの縫製糸は一般的なオレンジ1色のみだが、最終的には黄色とオレンジの2色を使い分ける。アパレルナンバのファクトリーには、同系色の糸がズラリと並ぶ。直感で選ぶしかなさそうだ。
「OG-4」に使うボタンは月桂樹。ワンスタードーナツと呼ばれ、ヴィンテージに使われていたボタンを復刻した定番ボタンだ。ボタンこそ星の数ほど存在するが、個性を出そうと風変わりなボタンをチョイスし、バランスが崩れてしまったジャケットを数多く見てきた。月桂樹で決まりだ。
ただし、同じ月桂樹でも、表面処理に様々なバリエーションが存在する。もう少しヴィンテージテイストを楽しめる月桂樹に変更しよう。
フロントプリーツやポケット口、袖口を補強する銅製の打ち抜きリベット。デザインも多様だが、シンプルを貫く。刻印も要らない。
着用感をレポート。
イカした外人モデルでも使えればいいが、企画しているのが40半ばのオヤジゆえ、見苦しいことを最初にお詫びする。身長165センチ、体重80キロ、胸囲108センチ(すべて今日現在)のオガワが着用しているサンプルはサイズ38。
中にはロンT1枚。かなりタイトだが、プリーツのお陰でフロントはしっかりと閉まる。肩幅をやや狭く設定しているので、最初は少しだけきつく感じたが、デニムが伸びたためか、1時間ほどの試着で全然気にならなくなった。袖は細めだが、その分、着皺がシャープに現れる。色落ちにも期待が膨らむ。
フロントを開けた写真はオガワのインスタ(@hi.ogawa)に掲載しているので、気になる人はご覧頂きたい。
この後ろ姿には大満足だ。背中にプリーツも無ければ、腰元のサイズ調節ベルトも無い。このシンプルな佇まいが大好物。ブーツを履く時、しゃがむと若干背中が張るが、まったく問題ない。
しゃがんだり、腕を組んでも、生地の張りを感じないということは、普通の姿勢時には生地が余ってダボついている……とオガワは勝手に解釈している。フライトジャケット「A-2」を着慣れた人であれば、オガワが言っている意味を理解してくれるだろう。
オガワがサイズ38を着用すると、ロンTもしくはTシャツ1枚でかなりタイトだが、普通体型の人であれば薄手のシャツは着られるだろう。しかし……
「OG-4」は革ジャンを脱いだ、真夏以外のシーズンに着て欲しい一着。少々汗ばむギリギリまで革ジャンを貫く漢たちにこそ着て欲しい。よって、インナーはロンTもしくはTシャツ1枚の着用が前提。デニムシャツ感覚で「OG-4」に袖を通して頂きたい。
セカンドサンプルへの修正点。
まずは縫製糸。ファーストサンプルではオレンジ1色で縫ったが、最終的には黄色、オレンジ色の2色の縫製糸を使う。
さらに、ファーストサンプルで使った糸のオレンジ色が濃過ぎる。「いかにも」なオレンジ色が子供っぽく、ステッチが目立ち過ぎる。もう少し薄い、自然なオレンジ色に変更することにした。
袖丈と着丈を微調整する。
肩幅と身幅は申し分ない。問題は袖丈と着丈だ。デニム生地は洗えば縮む、着込むうちにシワが増えて袖も若干上がってくる。オガワより身長が高い人も多い。これらを考慮すると、袖丈と着丈を若干、あと1〜2センチ伸ばした方がいいと判断。数々のデニムJKTを手掛けてきた、百戦錬磨の難波社長も同意見だ。
上記の修正希望をアパレルナンバの難波社長に伝え、セカンドサンプルの製作に取り掛かってもらう。すでにベースの型紙は完成しているので微調整で済む。時間は掛からないはずだ。楽しみだ。
この時間こそ、モノづくりの醍醐味。デザイナーから上がってくるページデザインを楽しみに待つ編集者の気持ちに似ている。懐かしい。