職人たちに会いに行く。
緊急事態宣言の解除に続き、越県自粛も解除された6月下旬。ようやく今年初の児島へ。気が付けば半年以上ぶり。話したいこと、教えて欲しいこと、相談したいことが山ほどある。いつもは一泊だが、今回は二泊。じっくりとセッションすることにした。
児島へは新幹線か飛行機を使うが、今回は諸々の状況を考慮して飛行機を選んだ。横浜の自宅から羽田空港までクルマで約30分。飛行機に乗れば、1時間ちょっとで岡山に着く。
いつ来ても、児島はいい。海があって山もある。最高のロケーション。この町で「OG-10」は作られるのだ。
難波社長とまず向かったのは、アパレルナンバのすぐ近くに事務所を構える山地氏。「OG-10」をはじめ「OG-4」「OG-7」のパターン製作をお願いしている、百戦錬磨のパタンナーだ。
一見コワモテだが、パターンの知識に疎いオガワにも親切丁寧に教えてくれる、心優しき職人。気まぐれな修正依頼にも事細かに対応してくれる。
ポケット角度に、まだ迷う。
すでに最終的なデザインも固まり、パターンの修正はないはずだったが……実は、まだフロントポケットの角度に悩んでいた。
角度を寝かすことで、ポケット口の浮き上がりを解消したセカンドサンプルだが、今度は手を放り込む時に、手の甲がポケット口に擦れる。一般の方々であれば問題ないが、オガワの手のひらはとても肉厚。あと少し、ポケット口を広げたい。長さにして、1センチ。
たかが1センチ、されど1センチ。
ポケット口を広げれば、手の出し入れはしやすくなるが、再びポケット口が浮いてしまう可能性もある。やってみなければ、わからない。
協議のうえ、ポケット口を1センチ広げたサードサンプルを作成することになった。試着して、不具合が生じればセカンドサンプルのポケット角度に戻すことにした。
最後の最後まで、オガワのワガママに付き合ってくれる職人たちには、本当に感謝しかない。
惚れ込んだ、14.5ozデニム。
今回「OG-10」に使うデニム生地は、デニムJKT「OG-4」と同じ14.5オンス。旧式力織機で時間を掛けて織り上げたデニム生地は、適度なコシがありながら、オヤジ世代でも苦にならないしなやかさ。
ややザラついた表情は、抜群の色落ちを楽しませてくれる。「OG-4」では着込むほどに袖にシャープなシワが立ち、メリハリのある色落ちを手に入れたブラザーも多い。
この素晴らしいデニム生地を提案してくれたのが、テキスタイルのプロフェッショナル、鈴木氏だ。
デニム生地だけではない。「OG-7」で採用したしなやかなダック生地など、オガワがイメージする生地を、数百、数千という膨大なストックの中から見極め、提案してくれる。「Original Garment Brothers」には欠かせない存在だ。
実は、今秋、新たなプロダクトを企画している。その生地の選定も兼ねて、充実した打ち合わせを行うことができた。